移転価格対策を含めたグローバルタックスマネジメント上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

テーマ 移転価格対策を含めたグローバルタックスマネジメント
日時 7月24日(土) 15時00分~17時00分
幹事 日本国税理士 高木 慎一様  広報および会計代行 叶 家胤
出席 31名

まとめ

SBFらしい(?) まじめな勉強会でした。

会場は、上海市の歴史的建造物であり、東実行委員のコネクションによる特別手配です。「プライムインターナショナル ジャパン 島根 慶一さんがSBFホームページで連載している「歴史物語」でもおなじみのもの、早めに会場入りし、じっくりと観察する会員もちらほら、旧フランス倶楽部であるため、フランス式の落ち着いた木造建築です。

高木先生は、我々下々の者ではとても講演など聞ける立場ではありませんが、SBFのため、わざわざ日本から駆けつけていただき、貴重なお話を丁寧に優しく噛み砕いて講演いただきました。慣れない税金のお話しのため、分かりにくい生徒もたくさんいて、講師もご苦労だったと思いますが、我々もおいおいと勉強したいと思います。

管理者や経営者であるSBF会員は、如何に原価を下げるか、如何に利益を上げるかという方向からだけ見がちでしたが、厳しいご指摘をいただき、見る角度を広げさせていただいた半日でした。

会場も、講師も、滅多にお目にかかれない貴重な機会でした。欠席された方は惜しいことをしましたよ。

勉強会の内容

1、グローバルタックスマネジメントの重要性

  • 日本企業も国際化が進んでおり、海外の何処で作り、何処で売るのが有利かは各社よく考えて経営効率化を図っているが、税金を何処の国で支払うのがよいのかはあまり考えていない。
  • 一方で、J-SOX、国際会計基準、移転価格税制などにより、子会社・関連会社の連結経営内容は厳しく管理されるようになった。
  • ビジネスモデルの変更ではなく、変革を迫られているのが実態である。
  • 売り上げ増加による、純利益額増加と実効税率を軽減することの比較をすれば、如何にタックスマネジメントを考えるべきか分かる。
    A社某社の事例 実効税率1%節約は130億円の売り上げ増加と同じ効果であった。
  • 実効税率とは、法人税だけでなく連結会社全ての税金を合算して対利益比を計算したもの。
  • 日本の法人税は約40%であるが、実効税率では、高い企業は75%にもなっている。
  • 海外子会社での現地での法人税、開発費の免税、海外子会社での投資優遇税制などの組合せにより、実質的に支払う税率は大幅に削減できる。

2、グローバル企業の実効税率比較と対策

  • サムスン   10%
  • ASML    21%
  • キャノン    40%
  • リコー     41%
  • 日本電産  25%
  • HOYA    15%・・・・・アジア・欧州等の低課税国へ本社機構移転、アジア諸国の投資優遇措置、国外配当益金不算入制度などを活用して大幅に削減している。

3、移転価格税制について

  • 移転価格税制とは、利益を故意に国外関連会社に移して税金対策をすることを防ぐための税制であり、グローバル企業に対しては関連会社の属する各国が目を光らせている。
  • 日本の税務当局署が納得できる内容は、中国の税務当局では不満ということもあり、その逆もある。最終的には、国と国との税務当局どうしの相談で決まる。

4、今後の検討課題

「攻めのプラン」

  1. 低課税国での事業展開
  2. タックスヘイブン税制対策
    連結納税制度等すでに導入済みの税コスト対策
  3. 優遇税制措置の活用

「守りのプラン」

  • 新事業モデルを正当化するための移転価格文書作成などの対策検討。
  • 新事業モデル構築時の各ステップにおける各国における課税関係の調査・検討。
  • 機能の移転に際しては、契約上の手続きのみではなく、人材の移転を含めた「実態のともなった移転」だと認められること。
  • PE認定リスク回避
  • 事業計画・利益計画を考えるとき、タックスマネジメントも同時に考えること。
  • 価格調整システムの改善が必要。

新入・初参加者の自己紹介(敬称略 紹介順)

馬場 宏治 逓天斯(上海)軟件技術有限公司
小島 一文 滋栄技研貿易(上海)有限公司
間口 恭典 間口(吉林省)長坂運輸有限公司 上海分公司

SBFからのお知らせ

叶 家胤さんより8月~12月例会の紹介と9月親睦旅行の紹介がなされました。

食事会

時間:18時~20時30分
出席:21名
会費:150元
開催:阿慶屋里廂(上海料理) 成都南路99弄1-3号

勉強会場より徒歩で移動。
こんな所に、こんな美味しくて安い店があったの(!?)と、新発見でした。これもSBF食事会の楽しみですが、まさにそう言わすお店でした。ご紹介いただいた叶家胤さんありがとう。
長く上海にいると、甘めの上海料理には飽きがくるものですが、それは全く感じません。今度はご家族や恋人とどうぞ。
お酒も会話も進み、あっという間にお開きとなりました。

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