漢方の健康理念&生活習慣病のセルフチック及び対策上海ビジネスフォーラム活動報告

2012年03月 上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

テーマ 漢方の健康理念&生活習慣病のセルフチック及び対策
◇第一部中医・漢方の健康理念
◇第二部 生活習慣病のセルフチェックと対策
日時 03月17日(土) 15:00~17:30
講師 鼎澣中医クリニック医師 葉 紅 様
出席 26名

勉強会

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漢方の健康理念は、ストレスなどでバランスを崩しがちな現代人が忘れかけている「バランス」と「調和」の重要性を私達に教えてくれます。
今回の勉強会では、鼎澣中医クリニック医師葉先生に中医における漢方の基本的な概念と健康管理に関するお話を伺いました。

第一部中医・漢方の健康理念

1)中医とは?

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中医とは、中国伝統文化の中で研究されてきた「実践的な医学」です。陰陽説、五行説を用いて、人体の生理、病理を説明し、整体観念、弁証論治で疾病を治療し、長年の医療実践で培われた独特な医療体系です。

※陰陽とは、一つの物は二つの側面を持っている中国古代の基本的な哲学概念です。古代の中国の人々が自然に対して、精密に観察した結果が元になっております。

例えば、一つの山に日が当たっている部分は陽で、日が当たらない部分は陰です。太陽は陽で、月は陰です。陰と陽は一つの事物の二つの側面という意味が込められています。

※五行とは、古代中国の自然哲学の思想で、万物は木・火・土・金・水この5種類の元素からなっているという概念です。この5種類の元素は互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環するとされています。

2)中医の三大理念

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中医の基礎には、「整体観念」「弁証論治」「治未病」という3つの理念があります。
「整体観念」とは人体は一つの小さな宇宙という考え方です。
人と自然、季節などの相関関係を考えて、全体的な視点で、体質改善、病気の効果的な治療、病気の予防、病気の予測を行います。
「弁証論治」とは四診(望診・聞診・問診・切診)により患者の病状の証を定め、証の元ついて処方が決めることです。

*望診:患者の全身状態を診ること。特に舌診は漢方の独特な診療方法です。
*聞診:患者さんの声を聴くこと、匂いを嗅ぐ事。
*問診:患者の病気の経過や既往の病気の経過、家族の関係などを聞く事。
*切診:脈を取る事は漢方の特徴ですが、これ以外は患者さんの肌の温度、汗の状況、痛いところの状況、お腹の状況など良く見てみます。

これらによって収集した情報を総合的に分析し、症状を判断します。
「治未病」は、“未病先治、既病防変、瘥後防復”という 三つの予防概念が含んだ言葉です。

この3つの意味を要約すると・・・

  • 病になる前に手を打つ事、要する積極的に予防をすること。
  • 既に病気になったら、その悪化を防止する事、同時に積極的に病気を治す事。
  • 病気を治っても、その復活を防止する事。

「治未病」この三つの文字だけで、以上の予防概念を含まれています。
あくまで予防の概念であるため、具体的な病気の治療に関する概念は含まれていません。

3)西洋医学との違い

西洋医学は「実験医学」と呼ばれており、実験研究によって得られたデータがベースとなっております。
注)中医は実践医学で、臨床の実践をベースになっています。

4)中西医結合とその成果

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中西医結合とは、中医学と西洋医学の双方が持つ良い点をうまく取り込んでいこうという考え方です。中西医結合医療とは、現代医学を用いて、中医の伝承、発展を図り、中医学や西洋医学お互いの長所を取り入れ、疾病を治療する新しい医学形で、西洋医学の診断や手法、治療も取り入れ、中医で治療する事です。

5)中医の優れた点

中医の優れた点は数多くございます。
中でも特徴的なものを10点紹介いたします。

  1. 漢方薬でしか治らない病気がある。例えば冷え症、のぼせなど。
  2. 漢方薬の方が治療効果の高い病気がある。生理痛、更年期障害など。
  3. 漢方薬を西洋薬と併用すると、治療効果がより上がる病気がある。生活習慣病、がん等。
  4. 漢方薬は、胃弱とかアレルギー体質などで西洋薬を飲めない人に使えることがある。
  5. 漢方薬は、「体質異常」を治す為のすぐれた薬が多い(西洋薬にはすくない)
  6. 漢方薬は一つの病気の治療だけでなく、病気にかかっている病人の体の全体をみて陰陽のバランスを取り戻すことができます。例えば高脂血症の場合、漢方はその高くなった数値を下げるだけではなく、その患者の色々な自覚症状例えば汗をかきやすい、疲れやすいといった症状も治療することができる。
  7. 漢方薬は、高齢者医療において西洋薬にはない治療効果のすぐれた薬がある。とにかく体力の低下傾向のある人に、その機能を高める薬が多種ある。また、免疫力を高める薬もある。老化により関節の痛みや変形、皮膚掻痒症などでも漢方の治療方法が多いです。
  8. 漢方薬は、一つの薬剤で多くの薬効を持っているために、少ない薬剤で済むことがある。したがって、副作用もすくなくなる。
  9. 漢方薬は、西洋医学的な検査に異常がなくても、自覚症状から異常をみつけだし、治療することが出来る場合がある。この為“異常がありません”と言われているのに、不調が続く場合、漢方に相談してみてください。
  10. 漢方薬は、化学合成で作られた物ではなく、自然な植物、動物、鉱産物からの物がほとんどです。

第二部 生活習慣病のセルフチェックと対策

休憩を挟んで、生活習慣病のセルフチェックが行われました。

1.高血圧の心血管病リスクチェック

1.高血圧の心血管病リスクチェック

2.糖尿病危険度チェック!

2.糖尿病危険度チェック!

3.血液ドロドロ度チェック

3.血液ドロドロ度チェック

ちなみに私は、

  1. 高血圧の心血管病リスクチェック・・・低リスク
  2. 糖尿病危険度チェック!・・・○が9個
  3. 血液ドロドロ度チェック・・・Yesが14個。叶先生からのお言葉「油断大敵」

2と3はチェックが多めになっていたので、生活習慣を改善しようと思いました(汗)

まとめ

中医・漢方の基本は「全体的なバランスの調和」。
この話は、中医などの医療だけではなく、私生活やビジネスの世界でも大変重要だと感じます。ひとつの考えや視点に偏ってしまえば、思わぬ盲点に足をとられて大変なことになるなど、トラブルが発生しやすくなってしまいます。身の回りでのトラブルも、もしかすると、関係している事象の全体的なバランスを整えてやることで改善してるけるのかも・・・と感じました。

食事会

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技貿賓館(三ツ星ホテル2階レストラン)の個室にて行われました!
レストラン内はかなり広く、時には結婚式の披露宴も行われているのだとか。
お料理も大変美味しく、ビールや紹興酒もかなりすすんでしまいました。

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