開催概要
テーマ | 中国で小売業を行うために知っておくべきこと |
日時 | 1月12日(土) 15:30~18:00 |
幹事 | 呉 明憲様 TNCソリューションズ 総経理 |
出席 | 27名 |
概要

2013年最初の例会は、日中双方で活躍されているTNCの呉さんが、豊富な話題を独特な語り口で披露していただきました。
今回は日本で開催するセミナー向けの内容を中国でも復習がてら・・・というようなお話です。中国と日本は違うことが多いことを再認識していただこうという内容です。
そこで、数字をみながら企業運営にメスを入れることが出来るのではないでしょうか。
主な内容
【2012年 中国10大キーワード】

詳細:http://news.winshang.com/news-138092.html
呉さんの解説
●開門難紅 商売を始めても最初はなかなか盛り上がらない という意味。
●成本増加 様々なコストが上がってきている。
●業績下滑 大型家電量販店などネットショップに押されておりネットと店舗をどう繋げるか。
●線上交易
●自有品牌
●人材危機 人材はとくに不足している
●物価上昇 とにかく物価が上がってきている。過去と同じことをしていては利益確保不可。
●零供関係 後ほど詳しく
●超市痩身 大型店舗から小型店舗にして、スリム化。
●抵制日货 日本のものは買わない・・・ということで、楽しくない話題なので略。
【2011年売上ランキング】

◎チェーン集団・・・大型家電量販店や外資スーパー、飲食産業が上位にランクイン
日系の場合、イトーヨーカドーで58位、イオンで59位と伸び悩んでいる。
◎スーパー・・・外資系、内資系が多い中、イトーヨーカドーは24位、イオンが25位と健闘。
店舗数が少ないので、売上が少ない
◎百貨店・・・大商集団というところが、大連で幅をきかせている。
※大連の久光も、どうもここから圧力がかかっている。(よそにはない品揃え)
◎コンビニ・・・ローカルが上位を占めており、12位あたりからセブンイレブン、ローソン、ファミマが健闘しているが店舗数がまだまだ少なくてなかなか上位に入れない。
【外資の歴史】

1984年、香港にパーキンショップが進出
日系だとヤオハンが1992年にきている。またヨーカドーが1996年に出てきて健闘している。
小売店は、外資はなかなか難しい。これは中国だけでなく、日本などでもこの傾向は強い。
【百貨店売上 北京】
中国では、デパートが成り立つビジネスモデルは難しいのではないか。 (台湾はデパート大好きな人が多いので話は別。)
【デパートからショッピングモールに】
- 事業計画がうまくできていなくて、店舗を閉めるデパートが増えてきている。
- デパートが成り立たなくなっている中で、ディベロッパーが開発しているショッピングモールが増えてきている。作りすぎてどうするの? という問題もでてきている。
- とにかく、ショッピングモールは規模がでかい。
- 上から下まで買い物がしやすくなっていて、デパートよりもショッピングモールに足をは運ぶ人が増えている。
【ファストファッション】
UNIQLOが128店舗、ZARAが92店舗 というなかで無印が42店舗もあった。(そんなに多いとは・・・知らなかった) H&Mは今後そんなに出店する計画はない。
【外資コーヒーショップ】
スターバックス 上海だけで142店舗 全国で581店舗もあり、ダントツのトップ。
マックカフェも全国で312店舗、コスタは全国157店舗
【内陸部への進出状況】
競争が少ないが、情報も少なくて勇気がいる。
ウォールマートは、沿岸部・四川を中心に展開しているがその他内陸部にはあまり出していない。カルフールは新疆地域にも進出している。大潤発は、内モンゴルなど内陸へ徐々に店舗を増 やしている。
進出には勇気がいるが、日本のブランドという立ち位置であれば何処にでも進出できるだろう。
【コンビニ内陸部進出状況】
まだ500店舗も無い省が多数あるが、5年後は500店舗を切る省はなくなるのではないかという調査もある。
しかし、コンビニの店舗当りの売上が少ないので今後どれだけ伸びるのかに注目している。
損益計算書をみると、中国は家賃の比率が非常に高い。日本と同じ感覚でくると、売上が日本より少ない割に家賃が高く、人件費も安くないので、そのうち淘汰されるのではないかと心配。
【お金持ちMAP】
沿岸部だけでなく、資源が取れる地域でお金持ちが多い。
田舎のお金持ちは、お金はあるが、買い物ができる場所が殆どなく、北京やハルピンにいって買い物をしているようなありさま。こういう地域に意外な需要が有るかも。
ただし、保守的な消費傾向の地域もあるようで金持ちが多いから売れる・・・わけではない。
【中国小売マーケットの事情】

◎中国は粗利率が非常に低い。・・・・そのため、店舗へ商品を入れたい時には入場費、契約費、バーコード費など、様々な費用がかかる。
◎粗利が低いが営業利益が高い・・・これが中国の大型量販店の特徴。
◎在庫、資金繰りの概念が弱い。・・・なぜそれで成り立つのか・・・集金能力が高いから。だから会社がつぶれない。
◎日本に比べて、売掛債権は少なく、買掛債務が長い。・・・これは、特定の店舗だけではなく、業界全体での特徴の模様。
◎サプライヤーと小売業者との関係
訳の分からない費用を取るのをやめましょう!という法案が2011年にでた。
その調査は2012年の6月に終わらせる予定だったが、9月まで伸びた。
◎整理整頓に戸惑うサプライヤーの見方
資金力が無いサプライヤーでも参入→低価格品で売り場をしめる→売り場の質がダウン→小売業者。サプライヤーが共倒れ・・・というシナリオを考えている。
◎そこで、お金を取られないことに越したことはないが、無料になることにより、変な業者が参入してくる方が嫌だなぁ・・・。
◎調査の結果・・・不正な費用は1321万元も出た。
- 安くない賃料・・・上海は東京都内と同じかそれ以上に高い。
- 安くない人件費・・・日本の方が相対的に見て安い場合もある。
- 安くない広告費・・・広告費を使わない日系企業。ちなみに、P&Gは400億元も広告に使っている。・・・この時点で全然競争ラインが違う。
◎内販における問題 ・・・・価格競争→販売代金回収→営業員確保・教育→販売チャネル選択→役所対策 などなど。
◎販売のポイント
「某小売店の失敗要員」

- 商慣習・・・接客の重要性の錯誤(従業員が耐えられない)・・商慣習への対応不足(値引きなど)
- 商品・・・日本製の過大評価・・・ローカル商品の研究不足・・・日本製のこだわりによるMDの陳腐化・・・マーケットの適合性の高いMDの不在
- 顧客・・・日本人顧客への依存・・・富裕層の過大評価、固執・・・ミドルハイ層への対応遅れ
- ブランド・・・ブランドポジショニングの錯誤
- プロモーション・・・ブランド浸透時期の広告不足
- マーケット・・・日本彩度の中国市場への理解不足
<今後の対応方針>
- 市場でのリアルなポジショニングの確認
- 商品、MDのローカル化
- ローカル嗜好のマーケティング
【事例】
例;85度など 省略
【中国市場進出の留意点】
- 富裕層に対する幻想に惑わされないこと →そこにいるのは、どんな富裕層なのか?
- 人脈という幻想に惑わされないこと →人脈だけで商売をするな。疑う事も時には必要→人脈は必要な時に探しに行けばいいのでは?
- 顧客の声を聞く努力 →中国に合ってなかったら、変更するのもひとつの努力
- 実行前のリサーチは欠かすべからず→自分たちでできるのであれば、自分でやっても大丈夫なので リサーチは念入りにすべき。
- 気づいてもらう努力
- 売るのではなく買ってもらう →上から目線はよくない。
- 成功の基準・ビジョン →何を、どれくらい、いつまでに行うのか?
- 実現できてないところが多いような気がする。
- どこまでいけば成功なのかというビジョンは大切。
(業績計画を立てない会社もあり、基準を持たないところもある)
【質疑応答】
- 中国のグローバル化は避けられない。
- しかし、中国ブランドのブランド力がない。
- 中国のブランドは、ブランド力がつかなければ、世界市場で戦いは難しい。
- それがいつになるかはわからない。
【まとめ】
口で言うのは簡単ですが、実際にやるのはむずかしいことです。しかし、こういうポイントを注意することで、現状の改善を図ることができるのではないでしょうか?とは呉さんのまとめ。その通りですね。
直接中国人消費者と接する小売業については初めての勉強です。豊富な資料と事例を基に分かりやすく解説いただき、大変勉強になりました。呉さん、有難うございました。
初参加者紹介
田中 勇さん 東京コンサルティングファーム
芝田 優已さん 株式会社 シノケングループ
小松 優介さん
福澤 信幸さん 愛姆希(上海)網絡科技有限公司
今田 智之さん オンワード樫山
実行委員からの報告・・・叶 家胤さん

- 2月例会 休会
- 3月例会 弁護士の東城先生が法律の話
- 4月例会 小貫さんの品質管理の話
- 5月例会 井口さんの性格診断
- 6月例会 畠山さんが初めて幹事に挑戦
- 7,8月幹事は募集中
- 9月の旅行は 金華へと予定。
- 10月例会 杉川さんの人材市場のお話。 (そして、蟹!)
- 11月例会 TUの渡辺さんの淘宝網のお話
- 12月年末会 未定
食事会

時 間:18時30分~21時00分
出 席:19名
会 費:150元/名
会 場:LOFT(勉強会と部屋を変えただけ)
毎年、年初の例会は、日本の正月、中国の年末ということもあって改まった雰囲気の特別な会合が多いのですが、今年は、呉さんご愛顧のお店、それも東京の下町の居酒屋という雰囲気の 何故か懐かしいお店で、食事会のみならず、勉強会までやらせていただきました。
店員さんも皆さん元気よく、美味しい料理とお酒をバンバン運んでくださいました。
暖かいお店の雰囲気で、新人さんも直ぐに溶け込み常連さんと活発に交流を図っておられました。

毎回感じること、まさに異業種交流会ですね、色々な分野や世代の方が話し込んだら止まりませんね、あっという間にお開きとなりました。
我々のために、ずいぶんとサービスしてくださったオーナーさんありがとうございました。そして、お忙しい中勉強会・食事会全ての手配をしてくださった呉さん、本当に有難うございま した。