個人情報保護をめぐる企業対応蘇州-上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

日時 7月8日(土)
テーマ 個人情報保護をめぐる企業対応
講師 丁 明勝 様(上海錦天城(蘇州)律師事務所 パートナー弁護士)
幹事 近藤 ゆかり
場所 勉強会:プライムコンサルティング研修室
交流会:紫藤・粤味私厨(星海店)
出席 勉強会:14名 交流会:14名
会費 勉強会及び交流会 175元/人

勉強会の内容

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昨今、中国で法令が厳しくなっている個人情報保護をめぐる企業対応について、四部分に分けて勉強をしました。

1.個人情報法概説

個人情報保護に関する法令

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  • 2017年06月01日:サイバーセキュリティ法
  • 2021年01月01日:民法典
  • 2021年09月01日:データセキュリティー法
  • 2021年11月01日:個人情報保護法
  • 2022年09月01日:データ越境安全評価弁法
  • 2023年06月01日:個人情報越境標準契約弁法

その他、法令(刑法、独占禁止法、情報安全技術・個人情報安全規範、他)についての説明。
ここ数年で、個人情報保護に関する多くの法令が作られており、今後、更に注意しなければいけない。

「個人情報は、電子又はその他の方法により記録され、既に識別されまたは識別可能な自然人に関する各種情報をいうが、匿名化処理後の情報を含まない」という定義について、また、個人名・生年月日・性別・国籍などの基本情報から、個人の指紋・声紋などの生態認証情報、IPアドレス個人のデジタル証明書などのネットワーク上の身分表示、など、多岐にわたる内容の種別と具体例を説明いただきました。

規制の対象は「収集」「保存」「使用」「加工」「提供」「送信」「公開」「削除」等の活動

個人情報の中でもセンシティブ個人情報(身分情報・生体認証情報・健康生体情報・財産に関する情報、他)の取り扱いは、原則として、社員への告知や、事前同意などを行うことや、特別規則を事前に定めることなどが必要。社員同意書面は、できるだけ広い範囲を一括でカバーできるような内容とした方が良い

2.個人情報コンプライアンス管理

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個人情報収集行為に関する規定に関し、『社員の結婚、出産に関する情報は、「契約の履行に必要な情報」には該当しない』 『従業員の不適切な利用による権利侵害』などの事例から解説をいただきました。

個人情報処理者の義務として、内部管理規定制定、実務規程の制定、分類管理、また秘密保護措置、社員の管理及び研修などが含まれることについて説明いただきました。

生体識別管理に関する特別規定に関連し、顔認証や、指紋認証で勤怠管理を行っている場合は事前同意が必要となり、社員がその方法を拒否した場合は、別の方法を提供し管理しなければならないという説明がありましたが、参加者の勤務先の多くは類似システムを導入しており興味深い部分のため、その対応について具体的に紹介いただきました。

3.越境移転に関する規制とその対応

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個人情報越境移転の形態、規制についての説明をいただきました。

  • 個人情報処理者が国内の運営において、収集・生成された個人情報を国外に送信する。
  • 社員の個人情報を保存した設備、装置を海外へ供給する。
  • 社員の個人情報を保存した設備、ネットワークのアクセス権を海外に開放する。
  • 社員の個人情報を保存したサーバーを海外に設置する

外資系企業の場合、多国籍企業では統一的な管理を目的として従業員の情報を海外本部や人的資産業者に共有する必要があること、また、中国国内の子会社は持っている顧客個人情報を海外の親会社に提供することが多く、その内容は、個人情報保護移転の観点から注意しなければいけない。

企業としては、越境移転安全評価、個人情報保護認証の取得、個人情報越境標準契約届出が必要でその具体的な方法について解説いただいた。

届出規則違反の場合、是正命令に加え、業務の一時停止、罰金、営業許可証の取り消しなど法的責任も問われるので十分に注意しなければならない。

4.個人情報侵害の法的責任

個人情報処理者は社員の個人情報を侵害した場合、「民事責任」「行政責任」「刑事責任」を負う必要があり、それぞれの内容について解説いただきました。

まとめ

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ここ数年、急速に法整備が進む個人情報保護について、企業として対応すべきことを学びました。

日本では数年前から厳格になっている法令ではありましたが、中国でも同様に対応が必要な状況になっていることを改めて知り、今後、各企業では早急な対応を検討必要であることと、またその推進方法についても理解しました。

交流会

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3年半ぶりの開催で久しぶりに顔を合わせるメンバーも多く、近況報告や課題の共有など、さまざまな話題を話しました。

少人数ながらも、それぞれのビジネス分野の違いから、興味深く勉強になる話しで大いに盛り上がり、楽しく、学びの多い交流の時間となりました。

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