この春は華東地域の新しい鳥インフルエンザウイルス「H7N9」が騒がれています。初めて人間への感染が発見され、上海での死亡人数は現在の時点で6名に達しました。街でもマスクを着けている人が多く見受けられます。
ウイルスに有効な植物の漢方薬はいくつかありますが、“板蘭根”はその中で最も有名です。風邪が流行っている時に、自分で薬局に行って、板蘭根を買うのが一般的です。
ニュースによりますと、ある動物園では動物たちにもこの“板蘭根”を投与しているそうです。2003年のサーズの時に、板蘭根は売り切れたこともありました。このように板蘭根は確かにウイルス系の風邪に防治の作用がありますが、ただ誰に投与しても良いとは限りません。
漢方では「察色按脈、先別陰陽」という古人の教えがあります。これは医者が患者を診る時に、まず体全体の状態をよく観察し、更に舌や脈を診て、患者の陰陽体質を分析することを指します。わかりやすくいうと人間の体質が熱い偏り、寒い偏りを判断し、体質に合う薬を処方しなければならない。“板蘭根”は清熱解毒薬に分類され、過熱な体を冷やす効能があるので、ウイルスによる熱に適応しています。しかし風邪薬ではありませんので、ウイルス系の風邪の場合でも、症状を診て、他の風邪薬と一緒に飲む必要があります。
鳥インフルエンザを予防する一番大事なポイントは、体の状態を整えることです。『黄帝内経』には“正気存内、邪不可干”という有名な説があります。体の状態が健康な場合は、風邪を含むいろいろな“病邪”(病になる原因)の影響を受けないと言っているのです。更に“邪之所凑、其気必虚”という説が続きます。すなわち体が虚弱の状態では容易に病に侵されます。このため、普段から疲労や、冷え、虚脱感、不眠、あちこちに痛みなどの自覚症状があれば、これは体の正気、即ち体の防御機能がすでに落ちていることを表していますので、早めに医師に相談し、治療を受けるべきです。これが漢方の未然を防ぐ「治未病」の謂れであり、最適な鳥インフルエンザの予防法です。