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討論会②「経営環境の変化-労務、会計・税務、貿易、その他」への対処上海ビジネスフォーラム活動報告
開催概要
日時 | 3月1日(土)14:00~17:30 |
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テーマ | 討論会②「経営環境の変化-労務、会計・税務、貿易、その他」への対処 |
講師 | 佐藤 忠幸・叶 家胤・内山 博文・杉川 英哲 |
場所 | 外服国際人材培訓中心 |
出席 | 37名 |
内容
今回は同テーマで開催された1月の勉強会で時間不足のために討論できなかった内容を補うかたちで、多くの会員の要望により追加開催された異例の勉強会である。(例年SBFでは春節前後の2月を唯一の休会月としている。)
財務・税務関係
企業所得税法改定について
1.主な改正点
①税率25%への統一(内資系33%、外資系製造業15~24%)
②製品輸出型企業の軽減税率の廃止
③特定地域による軽減税率の廃止
④経過措置5年間とする外資優遇措置及び優遇税率の段階的引き上げ
⑤ハイテク企業への15%優遇税率適用継続
⑥環境、エネルギー、水資源節約等の産業及び地域への優遇
⑦公布以前に設立認可された企業について、優遇措置の暫定的継続を認める
⑧その他の差異についても統一(接待交際費、労務費、広告宣伝費の経費認定基準等)
2.移行措置
①優遇税率
15%、24%の優遇税率を受けている企業は新法施行後5年間の経過措置が認められる。2008年より起算し5年以内に税率を25%に転換する。
②定期減免優遇措置
新法施行時に二免三減等の定期減免措置を受け射ている企業は、期間満了まで減免措置を継続することができる。
③税法改正時点で優遇措置を開始していない場合、2008年より起算し優遇措置の適用を受けることができる。
3.新たな課題
①国務院が鍵を握る運用細則
②タックス・ヘイブン課税対象国
③移転価格税制運用強化(親会社との売買価格の適正性)
④課税・徴収強化(個人所得税を含む)
会計準則2007年版の施行について
一般企業は「企業会計準則」に対する関心度が低い。「企業会計準則」は税務会計ではなく、財務会計を中心とする会計処理の規則であるため、上場企業以外の企業に強制力が弱く、無関係だと思われがちだからである。
しかし、正しく財務会計を行うことは、ステークホルダーにとって非常に重要なことである。信頼度の高い会社を作るため、税法だけではなく、「企業会計準則」を研究し、その施行をしなければならない。
1.ポイント
①会計情報の真実性、公平性、透明性と有用性がより強調される
②会計処理において、自由裁量の余地が大きくなる
2.留意点
①税務会計と財務会計の分離(会社法、会計法、税法)
企業所得税法:数値規準が明記されている。
会計法:総経理の決済による。
②企業会計準則と税法の主な相違点
固定資産(2008年1月より2000元の基準がなくなった。)
控除基準(損金)-福利、工会、教育費
控除基準(損金)-交際費
控除基準(損金)-広告費
貿易、その他
1.輸出増値税還付率および還付品目の削減
輸出品目に関する増値税還付率と品目の減少。
貿易摩擦の回避、資源確保が原因。
特にローテク製品は更に厳しくなっている。
2.輸出入関税の調整
国策を反映する関税調整が顕著化。
環境悪化商品など、資源エネルギーを大量消費する輸出製品の関税は引き上げ、その他はWTOにならって引き下げ方向となった。
3.外資優遇策は選別的に
2006年までは、雇用を生み、輸出に貢献し外貨を稼ぐ産業なら歓迎し様々な外資優遇策を享受できた。(特別減税、関税免除など)
今後は、高度な技術・ノウハウの移転、僻地開発への貢献、環境産業など、選別的に優遇することは、税金面だけでなく、地方自治体での優遇策も含めて顕著になっている。しかし、企業進出や投資を禁止しているわけではない、門戸は開いてはいるが優遇はしない。内資系と同じ扱いをするだけである。
4.物件法制定と工業団地売価規制
物件法とは、私有財産を国有財産と同等の位置と認め、権利保護をする法律。国有財産しかなかった社会主義国家としては大きく資本主義に舵をきった法律である。
私有財産を守るため、工業団地を造成するということであっても安易に土地収用ができなくなった。
工業団地の販売価格規制も並行して行なわれている。工業団地は既に乱開発、乱売であるため、不当な価格競争をしており、団地造成原価を大きく割り込んだ価格となっていた。そのために、転出が必要な農民への保障に大きな影響を与えた。
これら諸問題の改善のため、地方ごとに最低価格が決められており、昨年からは最低価格以下では売れなくなった。その最低価格は、以前の価格に比べて50%~200%アップである。労務費だけでなく、土地が安いという神話も崩れたといってよいだろう。
5.加工貿易の禁止または制限の増加
2007年4月には184品目、12月には589品目の加工貿易が禁止された。何れも2008年12月21日までには製造の中止をしなければならない。また、同年7月には1,853品目が制限類に加えられた。
労働だけが目当ての業種は製造が困難になってきたということであり、世界の下請け工場からの脱却を法的に明確になっている。
6.その他新法ラッシュ
昨年から今年にかけて、独占禁止法制定、その他の新法ラッシュ。
WTO加盟5年を経て、他加盟国との約束を果たし、経済状態の変化に対応するためである。
運用細則および地方政府への徹底が待たれる。まず運用実施は大企業と外資系企業から。
日系企業も、情報網をしっかりとさせ、コンプライアンス重視を貫き通すことが期待される。
7.進出すれば儲かった時代は過去のもの
1990年代初期は、中国に進出した企業と日本に残った企業との競争
1990年代後期は、中国に進出した日系企業との競争
2000年代初期は、中国に進出した他国外資系企業との競争現在は、外資系企業に鍛えられた中国系企業との競争
これらが、法律や政策の面でも明確になったのが2008年。
内資系と外資系が同じ土俵で闘うこととなり、中国へ進出するには、以前にも増して目的と目標をしっかりとたて、充分な備えをしてから実行しなければならなくなった。
既に進出している企業にとっては、改革のチャンスであると捉えたい。
まとめ
投資環境の変化をテーマにした討論会の2回目。参加者からは実務上の質問や自社事例の紹介が多く出され、SBFならではの活発な意見、情報交換の場となりました。総じて、人事・労務、会計・税務、貿易など、経営全般の環境が大きく変化するなかで、自社の状況を見極め、コンプライアンス精神に則した着実な対応が重要だと感じました。
また、新規会員及びゲスト参加の次の方より自己紹介をして頂きました。
沼澤 亮一さん(上海威克斯不銹鋼有限公司)
林 吉彦さん(サンライズ工業株式会社)
江田 澄夫さん(優越脚輪(上海)有限公司)
浅野 幸長さん(株式会社エス・エム・エス)
食事会
18:00より、勉強会会場付近の火鍋レストラン「魚林閣」にて。
参加者24名。
地元では大人気のレストランで、名物は魚丸という新鮮な魚をすり身にした団子。注文を受けてから活魚をさばき、団子を作るそうです。魚丸は火鍋でじっくり煮込み、数種類のソースでお好みに合わせて味わうことができます。
SBF食事会の満足度は紹興酒の空き瓶がバロメーターになっています!今回は6本でした!(って言うか、皆さんただの飲兵衛!?)