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中国における競争規則 ~不正競争防止法と独占禁止法を中心に~上海ビジネスフォーラム活動報告
開催概要
日時 | 11月15日(土) 15:00~17:30 |
---|---|
テーマ | 中国における競争規則 ~不正競争防止法と独占禁止法を中心に~ |
講演 | 方 新さん(中倫律師事務所上海事務所 弁護士) |
幹事 | 叶 暁さん(上海麗宝商務諮詢有限公司 総経理) |
場所 | 上海市中小企業総会 408会議室 |
出席 | 25名 |
内容
毎年、秋の恒例となっている法律学習。
今年は施行されたばかりの独占禁止法について中日両国で活躍の方先生に解説をお願いした。不正競争防止法および日本の独占禁止法との対比を加えながら分かりやすく解説をいただいた。
1.競争法立法の主旨
①目的
- 自由競争の原理
- 公正・健全な競争の確保
- 競争排除行為と阻害行為の防止
②体系
独占禁止法と不正競争防止法に分けて立法が世界の主流。
2.「独占禁止法」と「不正競争防止法」の関係と競争法の制定状況
- 「独占禁止法」 2008年8月施行 競争排除、競争阻害の防止
- 「不正競争防止法」 1999年3月施行 過当競争、競争秩序破壊
- 両法律に明確な境界線がなく、立法政策によるところが多い。
- 独占禁止法の制定が遅かったため、本来同法に入れるべき条文が「不正競争防止法」に入っている。例、不当廉売(安売り)。
- 中国では、市場経済の歴史が浅く、本来あるべき条項にないものが多い。
景品に関する条項、下請け保護に関する条項、大店法など。 - 判断基準となる判例はほとんど無く、代わりに最高人民法院が2006年に出した「不正競争民事事件の審理における法律応用若干問題の解釈」がある。
3.「不正競争防止法」(反不正当競争法)
- 不正競争防止法のキーワード・・・過当競争防止と公正な競争秩序の破壊防止
- 不正競争行為・・・中国の特徴としては、独占的地位利用による購入強制行為、行政権力濫用による競争阻害行為、がある。(公的機関に対する歯止め)
- 冒用(わざと間違える)、混同、誤認惹起行為・・・他人の登録商標を勝手に使ったり、有名な名前や商品にわざと間違えさたりさせるような行為が非常に多く、最近注目されている。しかし、ボーダーラインの線引きが難しい。
- 虚偽宣伝
- 原産地保護表示
- 商業の贈収賄
- 不当廉売行為・・・何処からが不当廉売か、貿易のアンチダンピング
- 抱き合わせ販売行為
- 営業秘密侵害行為
- 不当景品付販売
- 虚偽事実の捏造、流布行為・・・悪意がなくとも結果は虚偽となる可能性もある
- 入札談合行為
- 不正競争行為に対する検査
- 不正競争行為のペナルティ
- 不正競争行為を発見した場合、2つの処置ルートがある・・・行政ルート、早く安いが不確実。司法ルート、損害賠償ができる。
4.独占禁止法
- 独占禁止法のキーワード・・・競争排除と競争阻害、行為の規制と構造の規制(中国では明確)、特定の市場(難しい判断・・・代替性、選択肢がない)、私的独占(結果的に成長したらどうなるのか)、その他グレーゾーンが多いがガイドラインがまだ無い。
- 独占禁止法の規制対象・・・中国独特なものとして「行政権力の濫用による競争の排除および制限」がある。
- 独占的協定・・・水平的協定として、価格協定、数量限定協定、市場分割協定、などがある。垂直的協定として、再販価格拘束などがある。ただし、本や新聞は文化産業ということで例外となっている。
- 市場支配的地位の濫用・・・地位は認められているが行為が認められない。
- 事業者結合・・・現状でのターゲットとなっている。
- 行政権力の濫用による競争排除・制限・・・中国独特の条項。
- 域外適用・・・外国での行為が中国において悪影響があると見做されれば違法とされるが、外国で無視されればおしまい。さらなる法整備が必要。
- 独占禁止法違反のペナルティと担当機関・・・民事責任は、損害賠償。行政処分は、違法所得没収、罰金など。刑事罰など。担当機関が縦割りの弊害が残っている。
- その他
- 遡及適用・罰則はありうる。
- 不正競争防止法に関しては、防止条例にガイドラインがあるが少ない。条例自体が少ない。当然のごとく、独占禁止法はこれからである。
- 違法行為イコール制裁ではない。まだその差が大きく穴がある。
まとめ
難しい法律を、多くの事例を交えて、面白く分かりやすく解説をしていただいた。
独占禁止法というと、大企業でしか関係ないという方も多いがとんでもなく、中小企業においても深く関係することが分かりました。また、現在は問題なくても、企業あるいは商品が発展成長することにより、結果的に独占行為となることも分かりました。「オンリー1」を目指す企業には要注意です。
すでにある、不正競争防止法の中に、独占禁止法に入るべき条項が多数入っており、中国独特の法律となっています。このため、両方を学ばなければ全容が掴めません。
このこともあり、時間が足りなかったことと、出席者が少なかったことが残念でした。
再度、機会を作り「その②」をお願いしたいものです。
会費
30元(木口さんの交渉で割引いただきました。ありがとうございます)
新入の自己紹介
今回も6名と多くの新人が紹介されました。
末永 敏和さん(大阪大学教授)
飯田 一彦さん(みずほコーポレート銀行(中国)有限公司)
大江 航さん(上海大学)
迪 斐さん(上海大学)
金 辰宸さん
食事会
時間:18:00~21:00
出席:13名
会費:150元
開催:中国料理「王朝大酒店」
久々の本格中国料理。肉料理も海鮮料理も美味しく、腹いっぱいでした。初参加の末永教授も交えて、幅広い話題で大いに盛り上がりました。
方先生が急用にて参加できませんでしたが、幹事の叶さんが段取りよく進めてくださり、楽しい一晩でした。叶暁さん、お疲れ様でした。