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中国の水事情・日系企業の中国における水研究上海ビジネスフォーラム活動報告
開催概要
日時 | 7月25日(土)午後1:45花園飯店に集合 午後2時に閔行に向かってバスで出発、午後3時に研究所に到着。 勉強会 15時00分~17時30分 |
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テーマ | 中国の水事情・日系企業の中国における水研究 |
講師 | 第1部:東レIFRC上海水処理研究所 楊 瑜芳所長 第2部:蘇州可麗亜商貿易有限公司(上海亦林商貿有限公司)川越 一志 |
幹事 | 川越 一志(蘇州可麗亜商貿易有限公司) |
場所 | 東レIFRC上海水処理研究所(閔行)会議室 |
出席 | 37名(内2名。蘇州SBFより薛 国栄さん粕谷さん現地集合) |
まとめ
SBF7月会は東レさんの閔行研究所の見学です。前回の鈴木さんに引き続き、今回もエコ・環境関係で大きく貢献している浄水供給ビジネスについて勉強させて頂きました。蘇州可麗亜商貿易有限公司の川越さんが幹事を務められ、所長の楊先生に東レの浄水技術のご説明を頂きました。中国、ひいては世界の水環境の改善に貢献している東レの浄水技術を非常に濃い内容のPPTを使い、流暢な日本語でご説明頂きました。
楊先生の講演後は2班に分かれて交代で施設内を楊先生の引率で見学。
戻って再び、川越さんを講師に、美味しい水と上海の水事情、浄水器の必要性についてのお話をお聞きしました。
浄水機器が正しく「社会に貢献する」ことを知った、あっという間の2時間半でした。
勉強会の詳細内容:第1部
タイトルは、中国・上海・の水事「挑戦世界水環境問題の東レ最新膜技術」
東レIFRC上海水処理研究所の楊瑜芳先生(所長)の略歴は1981上海同済大学環境工学の第二期卒業の後、同大学で教員に。1990年代、中国で3廃が問題になった頃、日本に留学。京都大学大学院を卒業後筑波大学の研究員に。筑波大学環境研究所から2004年10月に上海(楊先生は生まれも上海)。
ちなみにこちらは、この園区最初の研究所だそうで、現在80名の方が働いています。
講演
PPTにて以下の流れで発表頂きました。
- 東レの最新技術 中国の水資源と処理
- 水環境問題と水処理膜技術
- 東麗繊維研究所(中国)有限公司TFRC 南通研究センター(繊維加工技術)
- 上海分公司(高分子材料プラスチック、電子・ケミカル)
- 胡錦涛氏の視察状況(2008年人道賞受賞)
- 世界の水処理 アメリカ・日本・ヨーロッパ
- 中国水資源の状況(水不足)
- 世界の水資源の10分の1を持つが人口は4分の1を占める
- 中国々内の不足状況 北京付近で水不足
- 中国の水資源の状況 水質汚染
- 主な7つの川の内、特に3つの流域で使用可能なのは25%以下
- 特徴としては、北方は自然型の水不足、南方は汚染型の水不足
- 中国河川・湖沼の評価基準
- 中国の地表水の状況
- 中国の全国給水量・水使用量
- 中国の生活用水状況 全国3地方での分布状況 生活レベルと使用量
- 浄水場普及率91%
- 飲用水の使用目標
- 中国の下水処理・再利用状況 目標 北京90% 平均50%
- 中国の新しい水質基準・政策の施行 効能処理 濁度 床面積あたりの処理施設設置基準
- 飲用水新指標的実施 生活飲用水
- 飲用水水質指標の変化状況 有毒有害物質・生物
- 世界性水資源短期現状 アジアの7億人が満足な水が無い状態
- 人口的増加和水処理技術的進化 膜処理は新しい技術
- 逆浸透膜濾過利用は25%ずつ年度増加
- 東レの膜技術
- 分離対象を使用した独自技術
- 穴の大きさがナノ以下は逆浸透膜RO ナノ単位はろ過膜NF ナノ以上は限界濾過膜や精密濾過膜 東レは自社開発を4分野持つ会社
- 逆浸透(RO)膜は食品工業プロセスや飲用水濾過に使用
- 飲用水濾過の現状 海水淡水化膜施設
- 下水処理事例 シンガポール
- 複合膜の構造 3層(多層)
- エレメント巻き式浸透幕装置
- 反浸透膜性能進化過程 説明図
- イオン透過膜 (脱塩率が下がる)
- 東レの性能発展方向 低エネルギー化
- スペインの膜処理施設の写真
- 浙江省の膜処理施設の写真
- 用途による市場分布
- 発電関連工業の発展状況
- 東レの水処理膜業務の世界分布 1,400万トン、6,000万人の生活用水を作っている
- 精密濾過(MF)膜の水処理技術
- 水質不安定な上水を濾過処理する技術
- 中空分膜技術
- 東レの中空繊維的分類
- 複合膜(ナノテクノロジー)の図解 50度の濁度の水も濾過
- 大容量膜組織の図解
- 日本最大的膜法自来水廠の写真
- 世界での東レの膜技術利用状況
- 水処理技術 下水用MF
- 東レのMBR膜組件 100枚の膜で構成したモジュール
- ビル地下の埋没式施設例や船に搭載例の写真
- 典型的業績 北京リッツカールトンホテル
- 北京オリンピック設備・競技場での導入例
- 世界のMBR導入
- 東レの膜技術と水処理技術(下水再利用)
- MF膜とRO膜の組み合わせで下水処理
- 全球大型汚水回収項目
- 北京例の写真
- 中国国内例の説明図
- 中国の水問題解決と東レ中国水処理事業
東レのモットーは「新しい技術を作って社会に貢献する」でした。
施設見学
2チーム交代で施設を所長の解説で引率見学
居残り班はTV報道の録画をPCでプロジェクター再生してスクリーンで視聴
1F 検査施設見学
- UF,MF
- 中国の家庭用の水道水では上海が一番下の綺麗さ
- 順位 北京(地下水併用) 杭州 蘇州 の順に綺麗
- 実験装置で浄化した水は浄水場より綺麗だそうです。
- 中国では010年には7割を浄水場完備にする計画です。
事例 オリンピック施設シャワー用水、トイレの水
- 機械ボイラー排水RO膜
- 排水用低圧RO膜を使う
- ボイラー
- 天津の排水場
- 生活用水
- 圧力をかけるとエネルギーが必要になる
- コストダウン20%日本基準
- 折江発電所の水 水道水より綺麗
- 超高圧スパイラル式ポリアミド複合膜
- 高圧中空アセシート膜
- 膜薬品洗浄 洗ってまた使える しかし、モジュールからの家庭内での再生は難しい
実験評価室の立ち並ぶ廊下が印象的な建物でした。
勉強会の詳細内容:第2部
会議室に戻って
川越さんの講演 16:10~17:25
上海赤林商貿易有限公司、蘇州可麗亜商貿易有限公司
上海の水事情
- 美味しい水とは
- 味覚の違い・成分によって決まり、バランスが変る
- 味をよくする成分と悪くする成分がある。
- 体温に対して、20度から25度低い水は喉に刺激。美味しく感じる
- 水の硬さは、軟水が飲みやすい
- 水の硬度とは
- 硬度はカルシウムとマグネシウムのイオンを炭酸カルシウムに置換して測る
- 世界各国の水硬度比較
- 上海140から180(硬水) 東京60から100(中軟水)
- 0から60 軟水
- 60から120 中程度の軟水
- 120から180 硬水
- 180以上 超硬水
- トルコ440以上 中国内陸部360 メルボルン30 ロス80から90
- 水の相性
- 料理と水の相性
- 硬水はうまみが灰汁として出てしまう
- 米を硬水で磨ぐとぱさぱさしてしまう
- 高級料理店は軟水器を入れている
- 西洋は硬水300以上で料理するので、肉が柔らかくなる
- 茶、紅茶は軟水がよいが軟水はコスト高
- 水の味をよくする成分
- ミネラル 少ないと淡白な味 多すぎるとしつこい味になる
- カルシウム・マンガン・鉄・ナトリウム・鉱物質
- 適量100mg/L
- 炭酸ガス 30mg/L
- 美味しい水の要件
- 蒸留残留物30~100mg/L
- 硬度10から100
- 遊離炭酸3~30mg/L
- 過マンガン酸カリウム3mg/L
- 水温20度C以下に冷やすと美味しい
- 上海の水事情
- 残留塩素0.4mg/L
- 塩素投入でトリハロメタンを含む
- 鉄・鉛・浮遊物により配管2次汚染 → 2次処理が必要
- 2年前との変化 新しい建物は中央配水システムを義務付けられた
- 万博までに飲める水を配水する→給水元はできるが途中の配管までは無理
- 東レの浄水器
- 顆粒状活性炭 → 中空糸膜 → 浄水
- 浄水器メーカーは28社が販売中代理店は100社
- ドラム水 → 浄水器
- 初めは日本人ばかり。今の客は90%が中国人
- 飲料水として可だが、飲むのは利用者の2割程
- 自分もペットボトルに入れて持ち歩いている
- トレビーノSW-5CH
- 処理能力は1日1本19L(5ガロン)を使うとして1年でフィルター交換
(フィルターを換えなくていいという大家も居るが浄水能力が有るなら必ず交換が必要)
正門前で記念撮影
17:35(蘇州SBFの2人とはここでお別れ)
感想
PPTには東レ社の企業機密技術の他に、中国各地の水源及び給水の詳細な数値資料が示されていたのですが一切撮影禁止でしたので、今回の記録には非常に苦労しました。
食事会
時間:18:40~21:00(ぐらい)
出席:26名
会費:150元
開催:日本料理 栄
住所:興義路48号新世界広場Bブロック1F(日本領事館近く)
正門前の記念撮影後、松江の東レ研究所から一路バスで北に。
今回、川越さんが食事会に選んだお店は、ご存知のSBF会員の方も多い日本領事館近くの日本料理店「栄」でした。
食べ飲み放題可のお店は上海に多々有るのですが、この日の栄は超満員。
非常に人気のあるお店です。
勉強会で、栄の浄水器の導入状況に関する質問も出ていましたが、きっと良いお水を使ったであろう美味しい料理でした。
特に、3階席に上がる階段の途中にあった水槽で飼われていた活き鮎の塩焼きが美味しいとの声も聞かれた事は特筆に価するかと思います。ごちそうさまでした。