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2010年の企業経営はかくあるべき上海ビジネスフォーラム活動報告
開催概要
日時 | 1月23日(土)14:30~17:30 |
---|---|
テーマ | 2010年の企業経営はかくあるべき |
基調講演 | 日立信息系統(上海)有限公司 沙 文灝さん |
幹事 | SBF実行委員 |
進行 | 上海坦思計算器系統有限公司 東 誠さん |
出席 | 28名 |
勉強会の詳細内容
2010年初めての勉強会はSBF屈指の辛口で知られる沙さんによる基調講演と、参加者たちの討論会で幕を開けました。
基調講演のテーマは「2010年の企業経営はかくあるべき」。中国マーケットへの期待が益々増大する中、日系企業が競争に勝ち残っていくためには何を考え、何を実行すべきか。トヨタ自動車での豊富な経験に基づく沙さんの持論展開が期待されます。
はじめに
「改善は絶対に必要である。企業も個人も一流やナンバーワンになれないと下流に落ちる。人生を充実させるため、仕事の効率を上げる。」
ここで言う「改善」の目的は、中国の現状への適応である。
- ムリ、ムダ、ムラを徹底排除
- アウトプット、智恵、結果を重視
- 付加価値を強調
- 上昇志向を強調
- スピードは命
- 改善意識の植え付け
ポイントは、やはり「見える化」「改善意識」「スピード」となる。
改善意識を植え付ける
企業は複製できない。改善は複雑系であり、生産現場のほか、文化・組織・人事などの要素が複雑に絡み合って初めて、確固たる強さを発揮する。受け入れる土壌がないと困難だということだ。
では、どの様にして受け入れる土壌を作ればいいのか。
企業全体が改善するという強烈な意思を持ち、各組織のトップも自らが先頭に立って旗を振り続けない限り難しい。つまり、各組織のトップと現場が改善のために自らの土壌を変えることが重要であり、自己変革の覚悟を持たなければ無理なのだ。
(やらない者は悪である、やらないで愚痴を言う人はなお悪である、傍観者・評論家は会社に必要とされない、危機感なき者は会社での価値はゼロである。やらないで愚痴を言う者は会社での価値はマイナス10000%である。)
ムリ・ムダ・ムラを徹底排除
改善、ムダ取りは永遠の課題である。組織の業務改善を始めるための改善の本質は、問題を徹底的に追及することである。「ムリ」「ムダ」「ムラ」を無くし、情報を「共有化」し「見える化」を徹底することが≪改善≫意識の統一となる。
アウトプット・智恵・結果を重視
何かをやることで(否、むしろ、やる形を維持することで)飯を食おうとするのが役人病である。これでは、生きているではなく、息を維持しているだけである。「成果」を出して初めて飯が食えるのが企業人のあるべき姿である。
人は惰性や未知のものに対する恐れによって、変化することを積極的に妨害するか、嫌でない程度に変化を妨害する。
中国での事業環境は日本国内以上に厳しい。5年で今の売上を4~5倍にしないと事業ができない事態になってしまう。
付加価値を強調
中途半端な知恵しかない人は企業にとっての価値はない。明るい、元気な人が必要。「知恵と改善」の源は、貧乏人が考えた生き残るためのハングリー精神である。カネがないのだから、知恵を出すしかない。それも中途半端な知恵では他の企業に太刀打ちできない。徹底的に知恵を働かせることである。
今、中国の現場にいる日本人にもハングリー精神は欠かせない。付加価値の高い作業とルーチン作業を区別する(待遇や位置などで)。
上昇志向を強調
企業も個人も、一流やナンバーワンになれないと下流に落ちる。「安心している自分」と言うより「自分が安心している状態」が真実の自分だと考えることである。その時の自分が安定し、安らかであればそれで良いのか?安心している状態が本当の自分だと言ったが、その状態を継続させるようとするから誤るのだ。これは価値観の違い。人間の欲求は拡大再生産である。見果てぬ夢を見ることである。
資本主義の基本原理と人間の業である欲求が融合するところは、限界のない夢の果ての世界である。飛ばない鳥の様な生き方をするな。世の流れには逆らうことができない。「自分の面子」よりも「今なすべきこと」にこだわれ。
スピードは命
「変えないこと」「変わらないこと」は「悪」である(スピードは改善の命)。改善のスピードは惰性、恐れ、抵抗を打ち破る唯一の方法。
「改善」する際には、従業員の精神衛生管理も必要。何れ精神的に弱い者は退場する。残念ながら、人間は変化に抵抗し「変える」ことを躊躇する。痛みの伴う改革はできれば避けたいと考える。これが大部分の日本企業の構造改革が一向に進まない理由である。
実際に改善をする際、人は惰性や未知のものに対する恐れによって変化することを積極的に妨害するか、嫌でない程度に変化のスピードを落とそうとする。業務改善で業務を変化させるには、これらの傾向を理解し、それに対抗するのではなく、一定のルールを作成し、そのルールをベースに迅速な対応で改善へ導くことが必要がある。
参加者による討論会
SBFは会員の自発的意思による参加が基本です。意見の発表も参加者に自発的に行ってもらっています。
討論会は、先ず実行委員5名が意見を述べることからスタートし、次に参加者の意見発表としました。印象深かったのは「安定を求めることがなぜ悪いのか?と素朴な疑問を真剣に訴える中国の若者や、現場の中国人ワーカーの将来を真剣に考える日本人コンサルタント達の意見です。他の参加者からも独自の意見が発表され、非常に勉強になりました。
ヒートアップする意見に、進行役の東さんもさぞかし収拾が大変だったと思います。とにかく、SBFらしい討論会となりました。
新人の自己紹介
野村 明加(大器環保工程(大連)有限公司 上海分公司)
村上 高志(小松(常州)工程機械有限公司)
間口 泰典(間口長阪運輸有限公司 上海分公司)
孫 智華(上海集賽信息科技有限公司)
小林 志郎(必科温信息技術(上海)有限公司)
湊谷 政洋(必科温信息技術(上海)有限公司)
(敬称略)
所感
沙さんの「辛口」は参加者の予想を超えていたと思います(ここに記載していない内容を含めて)。初参加の方はきっと驚かれたことでしょう。しかし、いずれも参加者の心に強く響く内容であったことは確かです。
基調講演後の討論会では、最終的に「中国の経営方式はまだ確立されておらず、中国では中国に合った経営が必要である」と言う一つの方向性を打ち出しました。語り尽くせぬテーマではありますが、それを追求していくことが「改善」の考え方と重なっていると感じました。
もちろんSBF自身も改善や変化が必要です。この様な討論会の機会を増やし、会員同士が更に活発な意見交換ができる会にしていきたいと感じました。
食事会
場近くの日本料理店「清水町」にて、食べ飲み放題コース。参加者23名。
今年初めてということで、新年会にもなりました!昨年末の総会から引き続き、皆さん、結構飲みましたね!熱燗器がSBFのスピードについて来られませんでしたから!この調子で、2010年もガンガン飲みましょう!(笑)