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棚卸について上海ビジネスフォーラム活動報告
開催概要
日時 | 10月23日(土)15:30~17:10 |
---|---|
テーマ | 棚卸について |
幹事 | 上海マイツ諮詢有限公司 高原さん |
出席 | 21名 |
まとめ
SBF10月会は上海マイツ諮詢有限公司、高原さんの「棚卸について」です。
現場棚卸のお話及び監査視点から見た棚卸についてのお話をお聞きしました。
勉強会の詳細内容
実行委員の叶さんの最初の挨拶に引き続き、高さんからPDFを使っての講演を頂きました。
第1部 棚卸のお話
自己紹介
高さんは財務税務経営管理のコンサルティング業務をされていますが、前職は生産技術・生産管理だったそうです。その現場棚卸業務経験を基に日系企業社員への指導を行っています。
◆立ち上がりについてPPTで説明をはじめます。
棚卸と言えば、在庫の棚卸、固定資産の棚卸、現金の棚卸がありますが、今日は在庫の棚卸のお話です。
スライドは「散乱している現場の図」です。(作業の様子通りにアニメーションで動きます。)
整理されていない現場の棚卸には、多い人数がかかり・結果の誤りも生じしやすいです。
次に「整理されている会社」の場合です。
棚やパレットで整頓処理されている現場を示しています。
この様に少人数・短時間・結果確認も短く、効率的な棚卸は2Sが出来ている事が大切です。
続いて目次ですが、今日の講演内容は次の5項目です。
1.棚卸の考え方
2.棚卸の役割及び重要性
3.棚卸の手順
4.棚卸の監査立会い
5.現場棚卸指導にあった事
そして、マイツ棚卸作業改善支援サービスのご紹介で締めます。
1.棚卸の考え方
①会計上の棚卸の意味について。
◆帳簿上の理論数値と実際の在庫の確認の事を指します。
「棚卸」とは、棚から荷物を下ろして数えることと、高さんは理解しています。
棚卸とは、
1.2Sのチャンスを与えてくれる
2.スッキリする(ここでキチンと笑いを取る高さんでした。)
2.棚卸の役割と重要性
◆財産の量と質の確認であり、2Sを行うチャンスを与えてくれているのです。
さて、差異が発生するとどうするのでしょうか?
仕入れ管理の問題?
そこで、内部統制を強化して管理を改善して行く事に繋がり、会社を良くするチャンスになります。
こうして、棚卸は会社を効率的にするのです。
◆生産効率の確認。見えないことを見える化するための重要な手段です。
3.棚卸の手順
◆棚卸の事前準備 準備フローを示します。
ここでは人とチームについての説明です。
- 棚卸組織の図・関連部署・資材調達・関連部署
- 物が動いてるときの棚卸は効率的ではなく、精度がでません。
- 準備帳票類・棚卸票の色を変えるのは棚卸の見える化の為です。
- 実際の帳票の掲示
記入方法は後ほど紹介します。
貼り付け用棚卸票は対象品が少なくとも、必ず個別に添付記入します。
色分けで処理日についてがわかります。
次に棚卸票・番号枚数・管理番号の付け方などの説明です。
- 棚卸票配布回収管理表
- 棚卸結果集計表
結果集計票はERPから引っ張り出したものでもよいし、エクセル表で自作したものでもいいです。差異の記入欄は原因分析に使います。 - 棚卸チーム組織表
責任者・担当者を明記した表です。 - 棚卸エリア一覧表
- 棚卸実施計画表
- 棚卸対象外物品理由書
◆棚卸の事前準備:エリア番号の「見える化」
エリア区分はリアルな見取り図を使い、色分けなど、事前に整理を実施します。
◆棚卸の事前準備:実施対象の区分
棚卸対象品は種類別にまとめて置き、対象外品は、理由書をつけて分別します。
◆数えやすいための準備
容器単位の明記やエリア番号の掲示が必要です。
◆棚卸の事前準備:必要道具の用意
記入用の二色ボールペン(黒・赤)、セロテープ、記入用下敷き、梱包材料、カッター、軍手、防寒用品、掃除道具、重量計、巻尺などを準備しておきます。
ここで休憩前の質疑が入りました。
「棚卸準備道具は業界問わずにでしょうか?」という質問に高さんも丁寧にお答えしていました。
--休憩は15:50から10分間でした--
新人のご紹介
休憩後には、叶さんから新人自己紹介のお願いです。
・入江さん(リコー)
HPで知って参加。6月に来たばかり26歳で転職前は小糸製作所で財務経理を2年間担当。
・許さん(フリー通訳)
金さんのご紹介。自分を紹介する場であり勉強ができると考えて参加
ここから第2部開始です。
3.棚卸の手順(続き)
◆棚卸の実施
朝一で棚卸票を配ります。
配布回収管理表の記入を行います。
訂正は赤線で引き。訂正者の名前を必ず責任を持って記入します。
◆棚卸の実施・棚卸票の記入方法
マニュアル通りに必要な情報を記入します。
計測精度は小数点以下1桁までです。
判らないところは、担当チーム長へ質問します。
記入時は青か黒いペンで記入します。
漢字で記入させる場合は誤読を避けるため、正楷書体で行います。
棚卸票の記入間違いについて、訂正を行い、廃却は不可です。訂正したものもまとめて提出させます。
◆貼り付け方法
棚卸終了後もそのまま張っておきます。
次回の棚卸まで変化が無いものはその上に張っていきます。
動いたものは動かすときに棚卸票をはがして張り替えます。
こうする事で、物の動きが可視化できます。
◆棚卸票の記入と提出
チーム長がチェックをしてからまとめて提出します。
◆棚卸の実施・結果の確認フロー
誤ったものは赤い×をつけて2枚とも提出します。
部門の責任者が抜き取り検査を行います。
現場に行って現物を確認して照合を行います。
◆部品の数え方
- 小物の数え方
開梱されていないものは、包装ラベルに書かれた数量を書きます。
或いは重量を書きます。
廉価なものは時間と人員のコストを考えて、計量での誤差を認めます。 - 確認しやすい置き方(パレットなどを使います)
液体、粉状の測り方は、容器の重量を測って容器の上に記入しておきます。
容器の破損変形がある場合、容器の交換を行ってから計測します。
◆異常発見及び報告
備考欄に「多」「少」「錆」「傷」など気になる所を記入します。
◆棚卸票の回収
配布回収管理表の記入時に、提出者に記入してもらいます。
番号と枚数と空白枚数をそれぞれ記入し、管理します。
◆データ集計
集計表の記入方法
帳簿上数量を事前に記入しておきます。
差異に対して、担当部署へ返してフィードバックし、今後の棚卸改善に使います。
◆会計処理
差異の原因調査の結果、差異が出ている場合、
差異・・差益か差損のどちらでしょうか?
棚卸差損の場合は3つに分かれます。
1.日常損耗、記帳の差異による差損 管理費用に計上
2.他人の過失による賠償がある その他未収金に計上
3.自然災害抵抗不可力による損失 営業外支出に計上
棚卸差益の場合
営業外収入に計上:PLのせ、税金が発生します。
管理費用に計上して相殺することは可能が、現物の別途管理が必要です。
税務処理もありますが今回は省略します。
--ここで本来は2回目の休憩です。時刻は16:30と少し早く進んでいます。--
第3部
少し計上のおさらいをしましょう。
棚卸監査の立会い年末監査を受けている会社は既にご存知でしょうが・・・毎年棚卸立会いされています
さて、一般的な認識では監査とは、結果の確認や実際のカウントだと思いがちですが、意義の理解した正しい認識では、次の3点を指します。
①棚卸実施フローの評価
②実際操作中の効果確認
③サンプリングの抽出検査
会計師事務所の人間はいちいち確認できないのでフローとサンプリングで信憑性を評価しています。25ケースの統計の理論で評価します。
現場指導にあった事を写真付きで紹介します。
例1.取り残し部品
実施エリアが明確ではなかった設備の中に棚卸漏れ品が残っていました。事前の整理整頓の問題です。
例2.帳簿上の数字の転記だけ行っていた。
→ 意味の理解を求める必要がある。
例3.梱包が破れて商品が減っている。
→ 盗難に遭ったのですね。
例4.棚卸票が地面に落ちていた原因は扇風機で飛ばされた事ですが、これは・・・
→ 確認の目印です。
例5.整理整頓が出来ていない。
→ 安全面でも問題があります。
例6.奥に隠れた不良品を発見
→ 整理整頓が行われていない
☆上海マイツのご紹介・サービスのご紹介
本日ご説明した監査指導は高さんが一人で担当しているので、お願いすると高さんが行きます。
最後にどの会社でも棚卸差異がゼロということはありえません。ですから、現状調査をし、不備の改善が必要です。弊社のサービスとして、マニュアル作成の後に手順をチェックし、棚卸の現場に立会い指導します。マニュアルの作成だけも承ります。特徴はマニュアルを現状に適応するように修正して、日中両国語で提供します。
Q&A
ここで最後の質疑になりました。
Q.大きな差損は何に計上するのか?
A.管理費用として計上。材料費にできず、損失として計上します。
Q.長期不良在庫は評価減出来るのでは?
A.会計上では一旦棚卸資産評価損引当金として計上します。税務局に損失として認可されるまでに、年度監査の度に納税調整が必要です。
感想
高さんがほぼ2時間話し通しの講演でした。高さんの並々ならぬ仕事への愛情と語学力を感じさせる、大変参考になる勉強会でした。
ああ、高さんに指導に来て欲しいなぁと思ってしまいました。
食事会
時間:20時~22時(ぐらい)
出席:16名
会費:200元
開催:9車間川香工坊(八万人体育場2号通路隣り)
住所:天鈅橋路666号(八万人体育場2号通路隣り)、地下鉄1号・4号線の「上海体育館駅」2番出口より徒歩5分
タクシーの場合、斜土路×零陵路の交差点で下車、体育場に向け徒歩3分
勉強会終了後、各自タクシーや地下鉄で雨の中で上海体育場(八万人体育場)へ向かって一路西へ。
今回、高さんが食事会に選んだお店は、上海体育場横の四川料理店「9車間川香工坊」でした。
こちらは上海体育場の通路に隣接する変わった場所にあるお店ですが、大雨だというのに満員でした。
懐古四川料理ということで、テーブルに並ぶ食器はホーロー引きのレトロで質素な物でしたが、出てきたお料理は、辛くて美味しい本格中華の四川料理でした。
当日は高さんがその中でも、あまり辛くないお料理を私達の為に選んでいただきました。
内装は大躍進、文革という革命直後を感じさせるポスターや工作機械を配したノスタルジックな雰囲気で、非常におもしろい趣向のこちらのお店。来中されたお客様と話題作りに訪れてみるのも良いかもしれません。
今回は、高さんの気配りに感謝してばかりの食事会でした。