中国EC(ネット通販)市場とタオバオ概観-日本企業の進出状況について上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

テーマ 中国EC(ネット通販)市場とタオバオ概観-日本企業の進出状況について
日時 01月15日(土) 15:00~17:30
幹事 久能 克也さん 上海斉優商務諮詢有限公司(上海TU)
アシスタント 渡辺 篤さん(同上)
出席 42名

まとめ

上海ビジネスフォーラム勉強会イメージ

現代中国で急激に発展成長著しい、インターネットによる通信販売の現況と関連ノウハウを惜しげもなくご披露いただきました。毎年1年最初のSBF例会は討論中心で行いますが、今年は今話題のテーマで口火を切っていただき幅広く議論しました。

土曜日とあって、空調のない会場では「寒いのでは?」と心配されましたが、久能さんの熱弁と渡辺さんの好アシストのおかげで、寒さを吹っ飛ばしてくれました。

久能さんは、タオバオ(淘宝網)の出店代行を開始してまだ3年ですが、現在では既に運営代行100店突破という実績をもとに、中国のEC(ネット通販)市場について教えてくれました。

中国のEC市場は6兆円と驚くべき規模にもなり、中でも8割のシェアを誇るタオバオ(淘宝網)は、日本企業にも注目されつつあります。上海TUで確認しているだけでも、200社程度の日本企業が出店しているそうです。今回の勉強会ではタオバオを中心とする中国ECを理解しつつ、日本企業として出店し、成功するためには何が必要か?注意すべき点は?などのポイントを共有できたと思います。

主な内容

1.中国のインターネット人口

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2011年11月で4.5億人突破
2009年末で普及率は25.9%
2010年11月末で33.9% → まだまだ普及する!

※北京・上海等沿岸地域の大都市は、普及率が60%を越えている。
※大陸内部も普及政策がとられているので、これから伸びると考えられる。
※ネットユーザーの男女比率は半々
※若者への普及率が非常に高い・・・18~30歳までが8割を占めている。

2.EC市場規模(流通額)

2007年 560億元
2010年 5,131億元

3.ネットユーザーの所得水準

インターネットは低学歴なほど利用者が高い
ネットショッピングは学歴の高いほうが、利用率が高い
08年と09年を比較すると、中所得層の利用率が軒並み増えている。
(利用層の高齢化、非利用者の利用開始)

※3,000~5,000元程度の所得者が利用する傾向にある。

5.タオバオのシェア

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①中国のC to C市場シェア
2009年時点でのタオバオのシェア → 82.49%(ほぼ独占)

※拍拍網、TOMが残りを占める

②中国のB to C市場シェア
2010年第三季度時点ではタオバオモールが33.5%でトップ(独占ではない)
京東商城が14.1%で2位

※日本のYahoo!と楽天市場(ショップ&オークション)を含めた金額の2倍の利益を出しているらしい。

6.タオバオが強い理由

①中国の商習慣にマッチしたエスクロー決済サービスが消費者にも売り手にも安心感を与えているから流行っている。

※アリペイ、支付宝での支払い(編集者注:詳しくは下記を)
 http://www.tuts-china.com/2009/03/alipay.html

②出品、販売、購入、決済ともすべて手数料無料
圧倒的なユーザー数を獲得

※広告費でもうけるビジネスモデル

③ECだけでなく、阿里巴巴グループとのコラボレーション企画を多数行なっている。
(幅広さ、先進性をPRしている)

※TVや雑誌で、タオバオで売れた人たちの成功談を発信している。
※タオバオ促進のイベントを多数行なっている。

7.タオバオモールとは?タオバオとの違い

①タオバオ → C to C

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【買い手】
信頼性に疑問
値切り交渉の楽しさ
探せば何でもあるモールというイメージ

【売り手】
出店が楽、コストがかからない
信頼性を得るまでが大変(評価制度を上げるのが大変)
今更ここをメインショップにする意味は?
(あんまり、日本人はココで出さないほうがよいかもデス。)

②タオバオモール → B to C

【買い手】
信頼性がある(タオバオに予め信用を確認する書類を出す必要がある)
ちょっと高い(値切られない)
商品数は少ないが、他のモールよりもまし?(比較的安心して買える)

【売り手】
出店のハードルが高い
信頼性・顧客を得るのは比較的楽(お客様をGetすれば、楽に売れる)
ココに出店するにはどうすれば良いか?どう考えるべき?

③信用度について

タオバオ(C to C)だけ関係がある
ランクは、ハート → ダイヤ → クラウン → ゴールドクラウン
数が多いほど、信用度が高い。

※ハートの段階は、顧客の警戒心が強い
※お客様が安心して買えるのは、ダイヤマークからとなる
※クラウンになると、非常に良いお店と見られる
※ゴールドクラウンは、超有名店!
(1ヶ月でダイヤをGETできるような店を目指すべき)
※信用度はお金で買えるが、6ポイント/月までしか評価がつかない。
※信用度購入がばれると、ペナルティーが大きい。(出品停止等となる事もあるらしい)

8.日本企業のタオバオ進出状況&成功のコツ

1)タオバオモールに出店中の日系企業

ユニクロ、コクヨ などなど200社以上。

2)日本ブランド店舗の成功事例

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内容は省略するが、いずれも半年後には10数倍の売上を達成している。
クリアすべき課題は、共通して中国現地法人の設立 → 直接仕入れ体制の構築 → 商標登録

※許可がおりるまでは、C to Cでマーケティングを行う。

TV等での広告展開→認知度をさらに上げる必要あり

3)タオバオモール出店条件と出店形態

・中国本土の法人である(香港、台湾もダメ)
・小売(もしくは卸)のライセンスを持っている
・中国商標当局に商標登録をしてある(日本の登録だけでは不可)
・保証金1.6万元
・売上の2~5%の手数料を取られる(年間6000元以上支払う事)

※手数料は、毎月500元、タオバオに最低手数料として取られる。

4)出店形態(各種証明書が出店の準備段階で必要となる)

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◇旗艦店

ブランド所有企業または子会社(1ブランドしか扱えない総合本店)(証明書が必要)
※ユニクロなどのお店がこれにあたる

◇専売店

ブランド所有企業と資本関係の無いお店(証明書が必要)
他社に委託して本店として出展されているケース
※ディーラーみたいな感じ

◇専営店

複数のブランドが扱える(仕入れ証明書が必要)
※日本では証明書発行に時間がかかるので日本の企業はいやがるケースが多い。

5)日本直送モデルの限界

個人輸入ベースなので、許認可・関税が無いが、コストが高くなるので競争力がなくなる。
※売れ筋商品は、香港ルート等で運べるが一部の高価な商品でしか利益が上がらない。

6)化粧品・食品を売る場合は3ステップを踏むのが良い。

1)タオバオでC to Cで販売
→ リスティング広告で3~4ヶ月マーケティングを行う。

2)許認可申請
→ 認可に30~50万円/アイテムがかかるのでマーケティング後に行いましょう。

3)本格出店(B to C)
→ 許認可を取った後でタオバオモールに出しましょう~
→ その後、リアル店舗等の展開がオススメらしい。

7)中国人消費者に好まれるホームページ作り

1)画像を多く使う
2)画像処理では、色鮮やかにしたほうが良い
3)ブランドの説明を細かくする(歴史・こだわり)
4)日本のブランドであることを強調
5)「○○1位」「○○賞受賞」とかがあればより効果大
6)お客様の声を入れる
7)レビューが付いたら、すぐに切り抜いて商品のページに貼り付ける

8)中国人消費者はサービスを非常に重視

ケース①
商品到着が遅れた
→ EMSで配送&お詫びの商品をいれた
→ お礼のメッセージが届いた

ケース②
商品の色を送付し間違えた
→ すぐに正しい商品とお詫びの品を同梱して送品
→ お礼のメッセージが届いた

※クレームをファンに変えることができる。

9)タオバオで成功するには??

1)運営体制
輸送サービスがある倉庫を利用するのが良いらしい。
ECチームをつくるべし 日々学習!

2)プロモーション
低予算のリスティング広告から始めましょう。
ミニブログやSNSなど、地道な作業も必要です。

3)商品・価格帯
高級品にこだわり過ぎない。
購入しやすい商品も用意する。
「売る商品」と「見せる商品」をつくる。

4)ブランドイメージ
基本的に日本ブランドを謳いましょう!

Made by JAPAN
●高品質、デザインは日本基準
●低価格で購入できる

Made in JAPAN
●高品質、デザインは日本基準
●高価格なもの

グローバルブランドを目指す場合は、日本色を消したほうが良い場合もある。
日本で無名でも、中国で売れる可能性もあるかもよ~

※タオバオモールからスタートするのがオススメらしい。

新人紹介

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話題のテーマとあって新しい方も多数ご参加いただきました。

1.栗田 有真さん
2.肖 航さん
3.鈴木 覚さん
4.沈 櫻さん
5.陳 立華さん
6.平井さんのご友人
7.姜 宜鵬さん(上海守谷)
8.吉富 誠さん
9.金子 恒平さん(上海皆信商務諮詢有限公司)
10.陳 雪君さん(東京油墨(上海)貿易有限公司)
11.吉永 成一さん(嘉玫尔(上海)企業管理諮詢有限公司)

実行委員からの報告

●2月は休会。
●3月以降概略の予定を報告し、今年の幹事立候補のお願いをした。

食事会

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上海家庭料理を新しいスタイルでアレンジしたという創作中華料理店。

この時期、中国では忘年会シーズンで、ここも超満員。個室が取れなかったため、乾杯はテーブルごとに行いました。

大広間の他のお客に負けず賑やかに交流し、お酒もいつも以上にすすみ、紹興酒が数十本も出ました。

久能さん、渡辺さん、お忙しい中、好アレンジありがとうございました。

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