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品質知識の入門[事務職も必要です-品質活動の基礎知識]上海ビジネスフォーラム活動報告
開催概要
テーマ | 品質知識の入門[事務職も必要です-品質活動の基礎知識] |
---|---|
日時 | 05月19日(土) 14:30(開場14:00)~17:15 |
講師 | 小貫 幸男 様(上海品貫貿易有限公司 総経理) |
出席 | 33名 |
概要
久々に実務中心のお勉強でした。
品質管理というと製造業しか関係ないような感じを持っている方もいますが、仕事の質を如何に高めるかということでは、事務系も営業系も同じだということを教えていただきました。工場管理や品質管理を専門にしている方でも、新しい発見が一杯ありました。本来難しいお話を、この道50年(?)の、小貫総経理直々の軽妙なお話で盛り上がった半日でした。
内容
通常では、6時間の内容を2時間程度でお話しして頂きました!まさに文字通り、アツ~い講義でございました。
1.「品質」とは何ですか?
難しく言うと、品物またはサービスが使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価対象となる固有の性質・性能全体の程度やレベルといえます。
例えば、テレビ購入で考えましょう。
テレビを買うときには、自分の欲しい「理想、目標」のものが欲しいけどそのとおりモノがあるとは限りません。その自分の欲しい程度を満たすものを購入するはずです。
つまり
「品質」とは製品またはサービスの質の程度といえるでしょう。
2. 品質管理とは何ですか?
品質管理とは、品質の程度を揃えることです。
ハンバーガーで考えてみましょう。
大きさ、量、匂い、味が買う度に違うと困りますよね。同じ値段を支払うのは嫌ですよね。つまり、全ての質の程度を揃える必要があります。
質の規格を決めた時、規格がある程度揃っていなければなりません。
規格より良い物もクレームに繋がる可能性があります。だから揃える必要がある訳です。
質の程度を揃えるためには、質を保つ「仕組み」を作らなければなりません。だから、品質管理が必要です。
しかし、そのためには色々問題も出てきます。品質管理は、これらの問題が発生しないようにチェック(監視)や問題を解決する仕事(活動)が大切なのです!
また、計画、実施、チェック、改善を一人ひとりではなく、職場やグループで活動を行う必要があります。そして、品質活動は、計画、実施と改善が重要です。
「計画を決める ⇒ 皆で守る ⇒ 状態をチェック ⇒ 活動を確認 ⇒ 結果が適切であるか見直し(検証)」という流れになります。
この中で一番重要なのは「計画」です。計画が完成すれば、後は実行するだけです。
しかし、品質活動はQCDを満足させなければなりません。
Q→品質 クオリティ Quality
C→原価 コスト Cost
D→納期 デリバリー Delivery
3.品質管理と求心力
「安全」と「品質」は一瞬で崩れます。
期限切れの商品を提供したり、安全確認を怠ったりなどをしていると一瞬で評判が落ちてしまいます。そして品質が崩れてしまいます。
一つ不良品が出ると、同時期の製品等を全て回収するなどの手間や費用が増えるので損害も大きくなります。
4.品質管理(活動)
品質管理活動とは、PDCAサークルを回すことだとも言えます。
P→計画Plan 目標を立てて、方法を検討
D→実行do 計画方法をそのまま実行
C→確認Check 計画に対して実施結果を確認
A→処置Act 実施の継続と問題処置
※計画が一番大事(作業の7~8割が割かれる)全ての業務の中で一番重要。
しかし、計画は何も産まないので非常に難しく、品質計画書を作っても、変化に対応するのが難しいので計画を立てることは難しいのです。
5. 改善活動
改善とは、問題の解決のことです。
質の程度がばらつき、材料の原価が変化したりなどの問題は常に発生します。
このとき、QCストーリーの活用が便利です。書いて整理をすれば、「見える化」がされ、問題を理解し共有することができます。
[問題点の把握]⇒ 改善目標の設定 ⇒ 推進計画の立案 ⇒ 現状把握 ⇒ 要因の分析 ⇒ 対策の立案 ⇒ 対策の実施 ⇒ 効果の確認 ⇒ 歯止め定着 ⇒ 反省と今後の計画立案 ⇒ 更に高い水準の改善に・・・ ⇒[問題点の把握]
という作業を繰り返していきます。
6. QC(品質管理)パトロール
工程で問題点を探すときの、物や作業の見方・問題点の発見方法について、事例や写真を交えて丁寧に教わりました。
なるほど、そういう着眼点があったのかと勉強になりました。
7. 品質活動
◇品質管理:質の程度を揃える活動・・・製造現場を向いている表現
◇品質保証:お客様に質を保証する・・・お客様を向いている表現
◇信頼性:安定した品質・性能を守ること・・・社内、お客、製品全てに向いた表現
※この3つは似ているようで非なる言葉です。
8. 工程とは何ですか?
工程すなわち加工段階には4つのMがあります。
人 Man
材料 Material
機械 Machine
方法 Method
色々な分析・解析のときにはこれで仕分けると容易です。
9.QC七つ道具の紹介
データを上手に活用し、「見える化」をするためのツールです。
今日は内容の紹介だけです。作り方、活用方法はまたの機会にどうぞ。
①パレート図
②特性要因図・・・作り方の事例までいただきました。
③ヒストグラム
④グラフ
⑤チェックシート
⑥散布図
⑦管理図・・・不良が出る前の未然予防に活用することができる。
不良を直すと コスト・時間などのロスが発生します。工程の質と程度を揃えるのに、管理図を活用すべきですね。
10. より良い製品造りのために
仕事をする上での基本的なことをおさらいしました。
◆ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)・・・ググッときました。
◆5W1H・・・全ての場面で意識しましょう。
Who(誰が)What(何を)When(いつ)Where(どこで)Why(なぜ)How(どのように)
◆三現主義・・・最認識しました。
「現場」に行って
「現物」を見て
「現実」的な解決を!
◆マナー・・・特に中国では重要ですね。
時間を守る、挨拶をする、言葉を使いに注意を払う、服装をきちんとする、公私のけじめを付ける、業務に対する心構えを持つ
◆5S活動・・・これまた、中国では最も重要でしょう。
- 整理(せいり、Seiri)・・・いらないものを捨てる
- 整頓(せいとん、Seiton)・・・決められた物を決められた場所に置き、いつでも取り出せ、戻せる状態にしておく
- 清掃(せいそう、Seisou)・・・常に掃除をして、職場を清潔に保つ
- 清潔(せいけつ、Seiketsu)・・・3S(上の整理・整頓・清掃)を維持する
- 躾(しつけ、Shitsuke)・・・決められたルール・手順を、自ら正しく守る習慣をつける
11. 異常処置
異常が発生したらどうするか?をおさらいしました。
①応急処置
・工程の処置 → 工程停止 → 一刻も早い原因除去で工程をもとに戻す
・異常品の処置→識別隔離をする(異常ロット前後も)
②再発防止・・・再発防止→隠れた原因(潜在的要因)を除去
③管理水準見直し・・・工程の実力を再計算
12. 改善事例の紹介
様々な改善事例を写真で紹介いただきました。
カンと経験は非常に大切ですが、各個人によって異なるため、カンと経験だけでは品質は安定しません。データによる検証によって状況を把握することで、カンと経験による推測を「見える化」することができ、結果、品質を安定させることができる、ということを事例でお話いただきました。
おまけ
グループディスカッション「自転車で転倒!さてどうする?」
品質改善活動を進めるためには、チームプレーそれも、グループ討議が欠かせません。それのヒントとなる事例として簡単な討議を行いました。
5つのグループに分かれて討議しましたが、グループごとに見事に結論が異なりました。自転車で転倒した事情という前提条件が各グループで異なったからです。
前提条件が変われば結論も変わるという、大変参考になる面白い実験でした。
まとめ
- 品質とは、質の程度。
- 品質管理とは、質の程度を揃える。
- 質の程度を揃えるのは、ばらつきを抑える。
- 日頃から安定したものを提供したほうが、顧客満足が高い。
- いつも、現場のばらつきを監視して抑える努力をする。
- 品物の質が良ければ問題ないだろう?・・・ダメ!それを如何に保証するかが問題。
以上が品質管理の基本です!原価を下げたかったら品質を上げろ!
いやー、勉強になりました。小貫さん、有難うございました。
実行委員からの報告 ・・・叶 家胤さん
- 6月例会:6月23日 東 誠さん(上海坦思計算機系統有限公司TES)
東さんはIT会社で活躍していますが、中国映画界でも活躍中です。その体験から幅広くお話いただきます。 - 7月例会:上村幸治さん(上海自润轴承有限公司)
SBF初めての工場見学をお願いしました。管理システムのお話もしていただきます。 - 8月例会:王 穏 弁護士(上海開澤法律事務所)直近の法令を解説いただきます。
- 9月例会:杭州方面(西渓湿地を中心として)への一泊旅行
- 12月例会:東京の高木慎一さん(新生会計事務所)税務・会計のお話です。
- 10月と11月の例会幹事・講師は募集中。自薦他薦ともに、実行委員へ申込んでください。
食事会
勉強会場から歩いて移動しました。
前菜(3種)/串焼き(7種)/焼き魚(3種)/サラダ(1種)/お好み焼き/焼きそば/生ビール/焼酎/ウーロン茶/オレンジジュース(料理と飲み物の追加は、割り勘)というメニューでしたが、食べ放題・飲み放題かと勘違いするほど、沢山のお料理とお酒でご機嫌一杯でした。
焼き鳥で一杯というのは懐かしく、ついアルコールもお話も進み、あっという間にお開きとなりました。我々のために、随分とサービスしてくださったオーナーさん、本当にありがとうございました。