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2009.2.21|2009年の中国経済を読む~世界金融不況以降の中国でのビジネス~

2009.2.21|2009年の中国経済を読む~世界金融不況以降の中国でのビジネス~

開催概要

日時 2月21日(土)14時00分~17時45分
テーマ 2009年の中国経済を読む ~世界金融不況以降の中国でのビジネス~
幹事 実行委員が分担
基調講演 武内隆明氏(TNC Solutions総経理)
コメント 佐藤忠幸氏、叶 家胤氏
受付・会計 秋山賀世子さん、徐莉さん、王萍さん、Elizaさん、杉川英哲氏、内山博文氏
場所 外服国際人材培訓中心 階段教室
出席 122名
会費 35元

基調講演内容

1.2009年の中国経済を読む

① 現実問題、金融危機の中国経済への影響は?

  • 先進国と比較して、ダメージが小さいといわれている。
  • その理由は→中国の特殊事情
    資本移動の自由、為替レートの自由化、金利の自由化
    (海外からの資本の大量流入・移動制限+引き締め金融政策)
    (日本銀行北京代表所 瀬口清之首席代表)
  • しかし、温家宝総理(ダボス会議)は、外需が縮小の為、一部の産業は、過剰生産よって、企業経営が困難になり、都市失業者が増加⇒経済成長は、下振れの圧力

② 中国経済の過去・現在・未来

◆過去
07年10月
党大会 金融引き締め
08年9月15日
中国当局は、利下げと預金準備率引き下げの同時発表(金融引き締め→緩和)

◆現在:2008年
ドイツを抜いて世界第3位の経済大国 (03年以降、5年連続2桁成長)!
(08年は、経済改革開放30周年、09年は、建国60周年)
しかし、現状の在庫水準、鉱工業生産、生産調整、雇用状況、物価動向、貿易収支などから判断すると・・・。

◆未来
では、「世界の工場」の中国の企業各社が生産活動を本格回復するタイミングはいつ?
⇒ 在庫調整には、過去の事例から、通常半年から9ヵ月を要する。
足元の在庫過剰感は、大きいので、09年後半以降にずれ込む可能性大。
各社の生産動向に注目。

③ 構造的問題

  • 金融危機は、中国経済の減速の直接の原因ではなく、追い討ちをかけたに過ぎない。
    (呉 日本総合研究所理事) ( Bros 2月号)
  • 5年以上も二桁成長を持続してきた後の、調整段階に入ったと言う景気循環説。
    経済モデル今後は、安い労働力に頼る加工貿易では、ダメで、最低賃金数%増により、賃金所得を急速に上げ、新しく労働契約法を実施したのは、産業構造の転換を図る政策の一環。
    (大西 JETRO上海代表処所長)( Bros 2月号)
  • 経営効率の悪い国営企業が国の補助に頼り、利益より社会安定を優先。
    (塩川岡三証券 上海駐在員所長) (BiZ presso 2009年1月20日)

④ 温家宝総理(2009年2月16日Financial Timesインタービューより)

(1)社会インフラ
(2)社会へのソフト面での対応

(a)個人消費の活性化
①自動車(小型エンジン搭載)の売上税を半分にカット。
②7,400万人の低所得者が、生活給付金として、一時金を受け取る。
③1,200万人の公立の初等・中等教育機関の教員の報酬を大幅アップ。

(b)社会福祉の改善
①8,500億元を医療分野に投資
②6,000億元を非特定分野の技術革新に投資
③約300億ドルを中国農業銀行へ資本注入→農村部(人口7億人!)の経済活性化
  (これで、大手国営銀行5行すべてが、公的資金を受け入れたことになる。)

⑤ 中国の景気刺激策

11月9日 G20の開催直前に発表された温家宝首相が主催した国務院常務会議で10項目の総合経済対策で、4兆元投資が織り込まれた。
他に、地方からの要望が18兆元!力強い内需拡大の投資案件が目白押し
しかも、中国の内需は、ロシア(シベリア)、アメリカ(荒野)、ブラジル(アマゾン)とは違う。
インドとも。人口がいる!
例:武漢、南寧

他に、

  1. 2011年頃までに1兆元を予定している四川大地震の復興事業
  2. 2010年までに上海万博(7,000万人が来場するという試算)関連
    (地下鉄など都市開発も含めた)事業に、4,000億元の投入
  3. 2012年までに、高速鉄道、軌道交通建設事業に数千億元の投入
    それだけの財政支出をする余力がある。

⑥ 景気刺激策の効果はいつ出るか?

新規投資は、09年3月の全人代で批准される必要あり。
土地の徴収、工事の手配 資金投入や雇用の効果は、いつ出るか?
諸説あり。

09年後半以降:(園田氏:三井住友銀行・企業調査部(調査)グループ長)
09年後半に一時的に持ち直す:(塩川氏:岡三証券上海駐在員事務所所長)
09年いっぱい厳しい:(天野氏:JETRO広州事務所調査・企業支援部部長)
10年までは辛抱の時期:(鈴木氏:みずほ総合研究所アジア調査部中国室上席主任研究員)

⑦ その効果はいくらか?

「8%超えるだろう」(塩川氏)(Bros 2月号)
「8%がターゲット」(園田氏)(メール2月15日)
「8%を維持するは、相当の努力が必要」(鈴木氏)(Whenever BizCHINA 1月号)
「7~8%の範囲で成長可能だろう」(古林氏:上海華鐘投資諮詢 董事長総経理)
「8.5%」(柯氏:富士通総研経済研究所主席研究員)  (Bros 2月号)

⑧ 結論は?

W字回復現段階は、下り坂。
景気は、まずは、今年後半に持ち直す。
しかし、地方で、大量に人を雇って、所得を分配しても、そのお金が消費に回るまでには、ましてや、第二次、第三次産業にまで波及するまで時間がかかり、グローバル経済の回復も必要。
よって、2010年前半は、再びマクロ調整に入って、本格的に効果が波及するのは、2010年後半。
その頃には、米国の経済政策にも効き目が出て、世界の金融市場も落ち着いて、米国の金融市場も再生し始める。

⑨ ピンチはチャンス! FOR 日系企業(投資家からの視点)

  1. 今回の危機によるクールオフは、五輪、万博の過熱解消には、プラス。
  2. 「市場」と言う、(実は中国以上のハイリスクの賭博場の欧米と異なり、中国は、実体経済のみ)と海外投資家からの新評価も!しかも、欧米企業は、ピンチ・・・。
  3. 中国でのビジネスが成長し、利益が伸びている会社は、BUY!
    ア)中国で収益を上げられる企業は、企業価値(株価)が上がる。
    イ)日本と物理的にも近い
    ウ)サービス(物流・金融)産業・若者(日本文化にも親しみをもっている80後)をターゲットとした商品(内陸も)。特に、身に着けたり、体に入れたりする物の安全性の高いものへのニーズも。

⑩ 長期

  • 少なくても、7~8%の成長を4、5年は、続けるだろう。
    (古林氏:上海華鐘投資諮詢 董事長総経理)BiZpresso 1月20日
  • 中国が中進国なみの都市化(現在の45%から60%)を目指すというならば、都市部で現在の1.7億人からあと4億人が増える。 それだけ増えるには、15年以上の年月が必要で、その間に市場ができ、その人口を支える生産力が形成され、消費市場が拡大する好循環。
    (大西氏:JETRO上海代表処所長)BiZpresso 1月20日
  • 中国経済は、15~20年間は安泰。 4~5%の成長。短期の底割れは回避可能。
    (呉氏:日本総合研究所理事)Bros 2月号

2.今後の中国でのビジネス

  1. 取り敢えず目の前の問題ソリューション・・・!
    大手上場企業の経営者、技術者、今度社会人になる大学生、社会人になったばかりの方、起業家も・・・。それぞれ見方と対策が異なる。
  2. 地域的に世界金融危機の悪影響を直接的なダメージが少なく、今後の経済の成長が見込めるのは、間違いなく中国。
  3. 今後、世界のビジネスマンにとって、中国語はMUSTかも・・・。
  4. そして、現在の満たされないところに、将来のビジネスチャンスが流れ込む。
    これこそ、大きな、変えようもない社会的流れ「潮流」で、投資と成長するビジネスのカギ!
    (例:食品の安全性、物事の利便性)
    中国の身近な例 (中国からの需要)
    1)タクシーのメーターのレシート (遅い!)
    2)カーナビ (特にタクシー)
    3)建築法⇒消化法⇒消火器の設置
    4)地下鉄の路線図の乗り降り車両や所要時間案内
  5. C to C(中国側への供給)
    1)消費(化粧品、外食、GMS、コンビニ、アパレルなど)
    日本の高品質、高付加価値
     ⇒機械技術(ハード)+サービス(ソフトパワー)・トヨタの高級車レクサスの社内のダッシュボード・アニメ・コクヨさんのEasy buy・ピジョン、ベネッセ、明治乳業、資生堂、ヤクルト、サントリー、リコー、日清食品、大丸、山崎パン←安ければいいというものでもない?!
    2)金融緩和 (クレジットカード、生命保険など)
    3)農村支援
    4)医療・教育 なんたって、中国政府は、金があり、金をつかう⇒「政策に売りなし」
    (しかも、それは、ある程度、発表されるから、かなりの確率で読める!)
    5)公共投資/鉄道・電力網関連などのインフラ投資 (住宅・建設も含む)
    (鉄鋼、セメント、建設機械、インフラ建設など)
    6)環境/省エネ/ハイテク (原子力・太陽光発電、ナノテク、がん治療など
    7)内需向け重厚長大産業の成長に必要な技術やノウハウ
  6. GDP/人=10,000ドル/人を超えると
    快適な住宅、おしゃれな服、性能のよい車、おいしい料理など、市民生活が大きく変わり、ワンランク上への欲求が高まるターニングポイント
     2007年 深圳
     2008年 上海
     2009年 北京
    ⇒値段は少し高いけど、質の良い製品やサービスを提供する日本企業にとっては、飛躍のチャンス!
  7. 課題
    人事(日本人のネック!)

    ○日本の本社
    現場主義(雇用も含めて)でなく、リーダーシップがなく、決断力がない日系企業が多い。
    →ストライキの対応もお粗末で、リスク管理が出来てない!

    ○生え抜きの中国人のマネジメントが責任あるポジションに着くのがベスト
    ガラスの天井の撤廃!

    ○現地人材の採用/登用
    (特に中国を今後、重要市場としてとらえるなら、商品開発から!)
    現地人のトレーニング (OJT)
    地場企業とのアライアンスも視野に。(ましてや、円高だし・・・。)
  8. 日本文化の素晴らしさを再認識
    誠実さと善意(岡本行夫 元外務所北米課長)
    技術と勤勉さ(松本紘 京都大学総長)
    倫理性と節度、信頼(行天行雄 国際通貨研究所理事長)
    チームワーク
  9. 朝の来ない夜はない。
    (不況からは、いつか脱出できる。金融不況も例外ではない!)
    長い目で見れば、今が、仕込みどき。
    (知識、普段できない経験(人脈も含む)、組織替え、新しい仕入先、販路の開拓などなど)
    ⇒「蒔かぬ種は生えぬ」
  10. 「もうはまだなり、まだはもうなり」
    毎月積立投資も例外ではない!
    「危」=「機」  ピンチはチャンス

3.心理

  1. 心理は真理(主観的vs.客観的のバランス)
  2. 投資家心理: ウォール街では、 Do NOT touch falling knife! ⇒パニック売り
    (集団心理 人間の心理学を融合した経済学 ⇒ 行動経済学 リチャード・セイラー教授> (シカゴ大学経営大学院教授/ノーベル賞受賞学者)その世界の安心役のキーパーソンは?
    アメリカ44代大統領 オバマ氏
    オバマ新大統領は、世界の「期待」を一身に! 「期待」⇒先行きに対して、どう思うかで、人の行動を左右 「投資」⇒先行指標 (先読み)

    投資との関係
    だから、就任演説前までは、アメリカの株価は「期待」で、ずっと上昇傾向で、就任演説当日は、既に「織り込み済み」と下がってしまった・・・。
  3. 先読み
    (日本の諺)「風吹けば、桶屋が儲かる」&「ねずみの嫁入り」
    逆に、オバマさんが、ダメだと見極めると、投資家は、「空売り」!
    経済の「先読み」で即、アクションを取るのが、投資家。
  4. エコノミストと投資家の関係
    アナリスト⇒エコノミスト⇒ストラテジスト⇒投資家(インベスター)
    アナリスト(事実を細かく分けて考える⇒分析する)
    ストラテジスト(アナリストの分析に基づいて、投資戦略を練る)
    エコノミスト(経済の評論家⇒リスクを取らない!)
    インベスター(投資する⇒リスクを取る!!)
    (武内氏は、エコノミストではなくインベスターですね、失礼しました。)

4.質疑応答

期待以上に活発な質疑があり、武内氏も情熱と誠意を込めて精一杯応えていただきました。(内容省略)

5.コメント

佐藤忠幸氏

各企業は、向こう1年間は低迷している前提でリストラを大胆に行なえ。
リストラとは人員整理のことだけではない。企業体質を改革するためには人心の掌握が必要であり、最も重要なことは幹部教育である。今は、少々厳しい教育・訓練をしても歓迎こそされても、辞める者は殆んどいなく、チャンスである。
リストラの一環として、5S運動も徹底すべき。中でも、「しつけ」の教育と、整理の徹底である。大部分の会社は、不要・不良資産を洗い出し、処分したら赤字になるだろう。今まではそれが怖くてできなかったが、今は赤字決算をするチャンスである。

叶 家胤氏

4兆元の投資は、効果が出るには予想以上に時間がかかるだろう。1列に並んだ自動車は一斉にスタートしたつもりでも、先頭車と最後尾車とは相当な距離ができる。
もう一つの課題は、社会保険格差が非常に大きいことであり、貯蓄率の多い原因となっている。これを改善するには、莫大な資金と期間が必要である。これができて初めて安心して消費に回り、内需拡大が実現できるだろう。

6.まとめ

武内氏は、難しい経済予測を軽妙な語り口で、豊富な資料を基に幅広い角度から解説いただき、あっという間の2時間でした。
あの髭面で(失礼)、どうして女性フアンが多いのか「よーく」分かりました。
講演が始まった途端、横綱朝青龍がバンザイをしている写真が出ました。そのキャッチは「朝青龍、存在感 闘争心に火」、「心」このテーマが、今回の講演で武内氏が一番強調したいところのようでした。
経済も、投資も人間の心理によりいくらでも変わるということのようですね。
中国政府は、それを読んで逸早く再建策を打ち出したということでしょう。その点日本も見習って欲しいものです。

定員の再三増員経緯

昨年から、年初第一回目の勉強会は討論会と決め、本年は2月が第一回目です。
今年、大部分の会員が共通するテーマといえば絶不調の中国景気がどうなるかです。そこで、武内氏に基調講演をお願いし、それを基に大議論を展開しようと企画し、定員は議論できる限界の40名と設定しました。
ところが、テーマと武内氏の著名度から、金曜日募集開始し日曜日で定員を超してしまいました。これでは、月曜日になってから案内を見た多くの会員から苦情が出ると判断し、定員を60名に増やしました。その後開場の収容力から小出しに増員をし、その都度追加募集の案内を出し、最後には156名収容できる階段教室を借りることができたので、定員枠を取り払ったところ、武内氏の積極PRもあり122名もの参加者となりました。
この人員では、討論会はできないため、武内氏の基調講演を45分から2時間と、急遽大幅に増やしていただき(武内さんご無理申し上げすみません)それを基に質疑応答とし、実行委員からの簡単なコメントで締めくくることに内容も変更しました。

新入の自己紹介

今回は、ゲスト参加者が多く、新人と合せて半数近くでしたので、紹介は省きました。おかげさまで、ゲストから新加入の方も30名近くおられて、総会員は200名を超えました。

食事会

時間:18時~21時00分
出席:81名(例会としては新記録)
会費:155元
開催:中国料理「蝶園」 呉江路269号経典茂名3楼

高級料理店「蝶園」が、今年1月に、上海きっての美食街、呉江路に2号店をオープンさせましたので早速利用しました。コクがあってしつこくなく、上海料理の真髄が凝縮されています。それだけにどれも美味しく、腹いっぱいでした。初参加の40名も交えて、幅広い話題で大いに盛り上がりました。
今回も、王萍(Bros)さんに、お世話をいただき、飲み放題のセッティングをご無理いただきました。さらに、予想以上に飲まなかったということでオマケまでしていただきました。
ありがとうございます。

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