「中国における日系コールセンターの取り組み」VCSコールセンター見学上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

テーマ 「中国における日系コールセンターの取り組み」VCSコールセンター見学
日時 6月19日(土) 花園飯店(ホテルオークラ)に集合、チャーターバスで出発。
当初予定14時30分~17時30分のところ、 14時45分到着の為14時58分より開始。
幹事 菊池 孝子さん(益峰客戸関係管理有限公司)
会場 上海市宝山区真華路1781号 5階会議室
出席 36名

まとめ

SBF6月会はベネッセ社の上海法人、益峰客戸関係管理有限公司の部長岡本氏、睦田氏、営業徐氏、そして菊池さんの講演「中国における日系コールセンターの取り組み 」 と、VCSコールセンターの見学です。

普段は立ち入る事の出来ない施設内の見学をはじめ、人材の採用教育と定着への努力・マーケティングなどについてのお話をお聞きしました。

勉強会の詳細内容

本日は講師は、幹事の菊池さんの上司、岡本部長と同僚の方2人を合わせた4人の方で講演2部と施設見学の3部構成です。

第1部 「人材定着方法と販売促進」

会社紹介:
上海におけるベネッセの事業の成り立ち
2002年開業し、現在651名 センター内に最大1300席のキャパを持ちます

「人材定着方法それは『人』」

業務実施は情報提供からマニュアル化まで
「企業→人⇔お客様」
マニュアル化・業務整理がキーポイント

離職率年間30%前後と高いことが、中国コールセンター界の悩み

業務にはインバウンド業務(お客様から電話を受ける) アウトバウンド業務(お客様へご連絡をする)があります。
業務上のネガティブ要素として、重いクレーム、時間ノルマ、処理ミスに対するプレッシャーがあります。
また、見ず知らずのお客様への販売活動という行為に伴うストレスや、販売目標に対するプレッシャーもあり、離職率を高めています。

また「日中の違い」として、雇用形態があります。
日本はアルバイト中心ですが、中国は正社員雇用です。
個人の仕事の捉え方の違いから、定着の可能性は中国のほうが優れています。

離職の原因は、1.将来への不安 2.仕事のやりがい欠如 3.心理的負担 であり、これらの要素を解決することが成功につながります。

1.将来に対する不安への対処

経営状況・方針の共有と理解促進を行っています。但し、情報の持ち出しの危険も加味して対策しています。
また、キャリアパスの明確化と運用を行っています。

例)オペレーターからPMへ
役職、必要スキル、就労期間目安、処遇高なども工夫しています。

研修制度の整備と運用として、次のような研修を実施しています。
導入研修
スキルアップ研修
マネジメント研修
ベース知識 商品知識 コミュニケーションスキル ホスピタリティに関する研修
リフレッシュ研修
社内共有研修

2.仕事のやりがい

達成可能な目標を管理
目標の明確化
達成可能な目標を割り当てる

業務全体の目標設定
各チーム毎の目標設定
個々人の目標設定

インセンティブ導入・実施
モチベーション
物理的
評価的
自己実現的
物や金銭
表彰
親会社との連携で海外研修

3.心理的負担への対処

メンタルカウンセリングの実施
現場でのメンタルケア
専門カウンセラーによる心理相談
5Fにカウンセリングルームを持ち国家資格を持つカウンセラーがいる

SVによる相談
遊び心によるストレス解消
福利厚生・社内行事の充実
卓球大会
マッサージルーム完備
労働環境

結果として20%あった当初の離職率を7%に下げ2年継続しています。
工夫によると人材の定着も可能なのです。
満足度調査を実施したところ、結果として業務の質の向上になることがわかりました。

13:26より講師が複数の寸劇に交代です。
「離職率をいかに下げるか...なのでドロドロ話コーナー」
ここだけの実話のお話です。

①文句を言い出す前に
②文句を言い出したら
③結局辞めることになっちゃったら

「女だらけのコールセンター」
派閥が出来て足の引っ張り合いがおきる
教訓:男性を混ぜると仕事に精がでてしまう

更に、「色恋のコールセンター」
付き合ってカップル化
別かれると辞める
付き合っているのが判ったら片方を配置換えする
常に目を光らせ人材配置を換える
教訓:辞める前に原因を取り除く

「突然の督促電話が」
若いオペレーターが多く金使いに問題が。。。会社が給与天引きで肩代わり
教訓:城を守るにはまず堀から

「親が怒鳴り込んでくる」
我慢強くない
給与が悪いとすぐやめたい
親が怒鳴り込んでくる
親と良く話しあう
本人よりまず親を押さえるのが損害を最低限に抑える方法
教訓:辞めるならみんなで辞めようホトトギスは「立つ鳥跡を・・・濁す」

注意すべきは管理職層の離職
注意すると嘘をつく
代わりの後任を立てて嘘を訂正。
引き抜きの噂があれば早期退職
教訓:辞めるなら本人だけを辞めさせる

○ここで質疑応答

職種としてはアウトバーンのチームが多い
同業他社に行くことが多い
→業界の広さは?
数十社ある
転職先には困らない
親が怒鳴り込んでくる
打たれ弱いのは待つ

評価と昇給にタイミングで起きる

出身比率 上海人6割
あえて計算で配分ではないが・・・あるかな?
会社によってクレームが来るところから
顧客を選ぶことはあるのか?
業界では通販の中でも怪しい商品や強引な売り方
男女比率や年齢制限は?
クライアントからのニーズがあれば。
以前、子供向け通信教育では親世代ではうまくいかなかった
サービスをする考え方に差が出てきているのではないか?
将来像はきちんと出来ていくようにオペレーションしている
コールセンターはL字方なのはなぜか?
日本のように真っ直ぐにしないのは余裕を持たせている
中国市場へのコマースでは出来ないの?
いかがわし考えでは?チャットやSNSで?
研修の部分でホスピタリティを導入というが、実際は?
(おたくは実は他人に優しい)
国民性の違い
カメラ自体を売ってほしいという要望
意識に違いがある
ホスピタリティの部分でオーバークォリティでは?
オペレーターの部分でどのような対応するのか?
富裕層の人たち向けのサポート部隊を持つ
実際の体験を持たせている
短大卒業生程度の採用学歴を引き上げている
→コストに跳ね返っている
イニシャルコストとして見えていない部分も大きい

サービス品質日系企業
企業からの販売についてのリクエストは?
対象のリスト件数について
件数別にコミッションを得ているものも多い
一件あたりのコスト
受け付ける場合

時間契約で一時間いくらで受けている
稼働時間
席数は必要な業量を応答率で見ている
指標を基に目標を達成する コストを見る
最適試算を出している
チャットが重要ではないか?
独自サイトはチャット混合
タオバオはチャットで負担では?
コールセンターの部分
ここは中国内向けコールセンター
日本語が話せる人材をそろえることもある
中国人だけで行う コストが上がる
競合企業があるが日系企業から日本語で日本人から指示がくる
考え方やカルチャーを理解してもらえるか?と思う顧客が多いようだ
→しっかり根づかせる

日系企業が中国を市場として重視しているのでは
アウトバーンで行ってから徐々に行って行く会社が増えている
ベネッセの資本が生きているのでは

対象化はDBと顧客からのもの

マーケティング系での質問

福利厚生のコストの吸収は採用コスト見合いで考えている
退職の防止でコストを見ている
知識に切り分けに関しては深い対応をしている
細かい対応で業務ごとに行う
オペレーショントレーニングは2ヶ月行う
レーニング機関になってしまうのでは?卒業
地方への移行は考えているのか?
上海に於ける中国企業へのリスク
出来ていないがこれからローコストへの提案を行っていない

16時05分 ここで10分間の休憩です。

新入会員の自己紹介

佐々木さん 日本総合研究所
中山氏 東京SBFから 出張ベースで来ています
小田さん 中山さんの会社の方
毛見さん 東京からマーケティングコンサルティングの会社を経営(3年前から)294
鮎川さん 東京からコーチング
吉田さん IWFC
早津さん伊藤忠(中川さんの会社)
伊藤さん アパレルマーケティングコンサル eコマース立ち上げ
小池さん 元田辺経営 人事制度(池田さんの会社の経営者)
張さん 弁護士
石田さん 蘇州から ウィルビーの方

第二部16時20分 テーマ「VCSの販売促進」について

講師 マーケティング部 睦田さん

全員を2チームに分けて挙手実験をしました。

トークスプリクトとは?

台本があり、ベネフィットとオファーを考えて行っています。

ABチームでのスクリプトの違い

1.3%と2.9%と差がでる
販売促進とは
「検証根拠をもとに効果を予測できるようになること」
最終形態
販売活動の5大要素

・誰に
・いつ
・何を餌に?
・どういう内容で?
・どの連絡手段で?

検証事例が必要

ここでまたグループ分けのABテストです。

リストの考え方

・メッセージで考える
・電話発信
・結果検証
・スプリットラン

時期での変化する
季節で発信方法を変える
変数の決定
確実に行う
重要な要素が欠けている
セグメントの部分
何を変えたかが全て把握できる
「誰に」だけが、把握できない

個人属性情報に常に耳を傾け、それらを整理しながら情報を溜めてゆくことがひつようである。
次につながる価値に出来るか?

ここで質疑です。

顧客の国籍別の統計は?
→クライアントは企業100社は日系で、欧米が8社。これがほぼ固定。他に中国2社。
通信販売日系2社は、欧米系2社で扱いは健康食品
他にオフィス文具とベネッセの子供向け学習教材。
化粧品もあるが、中国系は通信販売は行っていない
検査済みの化粧品のみ。

Q.顧客情報は?年齢層に関する情報は?膨大な情報の処理は?
クライアントによって要求情報が変わる 情報の必要な内容がクライアントによって変わるが、基本破棄される情報のほかに蓄積されるものもある

Q。誰にというファクターでは?誰がどのように?も、大切なのではないでしょうか?
メッセージに関しては・・・変わるでしょう?

Q.たとえば化粧品を売るときにどのようなオペレータ-が有利か?
インセンティブもある
許認可を受けたものを限って扱っている
最初のアウトバンドで買っていないケースもあった
全部の通話内容を録音し聞き起こしている。
メンタルケアと健康管理

Q。制約確認は?
どうシステムを作るかを顧客と確認しながら作っている

Q。顧客によっては在庫管理まで対応しているケースもあるのでしょうか
→あります
情報漏えいに対応
外付け記憶装置へはロックを実施。
そもそも守秘義務教育を行っているのでベネッセのDBも使えない

Q.競合他社への強みは?平均的に行うものなのか?
まだまだ課題は大きく、地道に努力を求められる。
CPOを高めるなどの努力を行っている
マイニングスキルなどを身につけるなど

Q.平均賃金と比べると如何なものか?
業界内では安くない賃金である
インセンティブによっても2倍の賃金だがバランスをとりながら、出来ない人を辞めてもらうこともある

クレームを受ける場合。

Q.クレーム管理室はあるのでしょうか?頻度と内容の濃さは?
受ける電話はホットライン
カスタマーセンターで受けている
受注センターなどメーカー系のクレームなどは、必ずクレームを受ける
コールセンターに受ける最初の声は全てこちらで受けて、録音などをしてクライアントに渡している
運用時に温度感なども伝える

PVについて

PMが上位で管理している
訪問まで来る場合はクライアントへ
納品内容は日、週、月で出している
問い合わせカテゴリーも分けて定量的数値を必ず報告している

以上で講演は終わり、17:10から2班でセンター見学です。

自動車会社や文具会社等の多くの日系企業名の掲げられた施設内をご案内いただきました。
福利厚生施設(マッサージルーもあります)の充実した非常に綺麗な建物でした。

感想

口頭によるサービスを扱う会社だけに、非常によく研究された社員管理システムと、日本からのノウハウの導入を実施している素晴らしい企業でした。具体的な名称は書けませんでしたが、多くの日系メジャー企業がこちらのVCSを利用している現場を拝見しました。少しバス旅行気分でわくわくした勉強会でした。それにしても羨ましい労働環境でした。

食事会

参加36名(勉強会多少のメンバーの入れ替わりがありました)
18時開始の為、急いでバスとタクシーで移動しましたが、結局19時近くの開催となりました。

店名: Saigon Blue(ベトナム料理)
場所:静安区延安西路129号
金額:180RMB/人
※ビール&ソフトドリンク飲み放題

勉強会終了後、バスとタクシーに分乗して延安西路へ。
今回、菊池さんが食事会に選んだお店は、ベトナム料理店 「Saigon Blue 」でした。
こちらは延安路に面した某ホテル横という一見目立たない場所にあるお店ですが、この日のこちらのお店も満員でした。

ベトナム料理ということでしたが、スパイシーな味の春巻きが特に美味しいお料理でした。
広いガラス張りの側面内装が店内を明るく演出しているこちらのお店。
カウンターBarもあり、ちょっとおしゃれに一杯やりたい時に訪れてみるのも良いかもしれません。

今回も、ごちそうさまでした。

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