呉門書道について蘇州-上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

日時 7月25日(土) 15:00~18:00(勉強会) 18:00~20:00(交流会)
テーマ 迷ったところで地球の上
講師 趙 永剛(ダイヤモンド(蘇州)有限公司管理部長、寒山芸術会副秘書長)
幹事 薛 国栄
場所 桃園度假村酒店
出席 勉強会:29名 交流会:27名
会費 120元

内容

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まず「呉門」について説明がありました。「呉門」とはもともと蘇州城の西側に位置する「閶門」をさすが、借用して蘇州地区の書画の流派を指すこととなり、歴史上高い地位を獲得しました。
「書道」という言葉は古代中国に使われ、現代は「書法」と変わりましたが、日本ではそのまま伝わってきました。

一.書道の源流

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紀元前16世紀、殷商時代の甲骨文に刻まれた文字が中国文字の始祖と見られ、紀元前12世紀の周から戦国時代に続けて青銅器に刻まれ始め、鐘鼎文(金文とも呼ぶ)というものが見られました。

紀元前4世紀(同じ戦国時代)には、毛筆が発明され、竹簡に文字を書かれるようになりました。秦始皇帝の国統一により、今までいろんな書体で書かれた文字が同一書体に統一され、「篆書」が出現しました。漢の時代に入り、もっと書きやすくするため「隷書」が普及し、さらに書くスピードを求めるための「章草書」(「草書」の前身)も出始めました。

その後、三国、両晋には、正しく内容を伝えるための官文用に「楷書」が使われ、「草書」と「楷書」の中間を取る「行書」も出始めました。此処に来て、概ね中国文字の書体が揃い始め、その研鑽と融合に努力した王羲之、王献之父子(東晋)が現れ、ついに文字の書体を「書道」という芸術まで発展させました。王羲之はそれで「書聖」の地位を確立しました。

その後、「書道」について多数の名人が現れましたが、一般に下記の4人が4大書家と公認されました。

  • 欧陽洵(唐 557-641)
  • 顔真卿(唐 709-785)
  • 柳公権(唐 778-865)
  • 趙孟頫(元 1254-1322)

上記の内容が説明される同時に、いろんな代表的な「書」の写真が見られ、「書道」の発展筋がわかりやすく説明されました。

二.呉門書道の発展

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最初の記録に残った蘇州の書道家は約1900年前、西晋の陸機でした(祖父は三国時代、東呉の名将の陸遜でした)。作品は北京博物館に現存し、平復帖で「墨皇」と尊称されています。

唐の時代は陸柬之、張旭(草聖とも呼ばれ)、孫過庭(氏の書譜という書道の心得が書道愛好家の必読品)、宋の時代は范仲淹(北宋の名臣で、思想家・政治家、軍事家、文学家)の作品が高く評価され、范氏は文廟(孔子記念館)を創立され、中国初めての大学塾として科挙に大勢の人材を送り出したことも有名でした。元の時代は元四大画家のリーダ―黄公望氏の作品を紹介され、黄氏は国宝―富春山居図の作者でもあり、2010年3月、温家宝首相が全人代閉幕後の記者会見に、その絵が台湾と大陸に半分半分保管され、いずれ合併されることを期待するという会話があり、2012年に一緒に展示を実現したという逸話も紹介されました。

明の時代は呉門書道の最盛期を向かえ、呉門書道の始祖と呼ばれる宋克をはじめ、推進役の沈周、頂点に立った4大才子(唐寅、祝允明、文徴明、徐禎卿)および陳淳、王寵、呉寛、文彭、王鰲、数多くの名人の作品を紹介しました。

清の時代に入っても王時敏、呉偉業、翁同龢、呉大澂、楊沂孫、馮桂芬など書道家として呉門流派の地位を維持しました。

三.書道の鑑賞

統一基準がないものの、ポイントとして

①大小
②墨色変化(目があること)
③疎密
④字法
⑤章法
⑥線の張力
⑦字の団体組
⑧リズム

が重要だと説明されました。書の写真を見せながらポイントを説明されましたが、素人には難しいと正直な感想でした。しかし、実際書くとき、本人の文章に対する理解、気持ちの変化、感情の変動が作品の個性と微妙な違いを生み出す説明にはなんとなく理解できた気がしました。

四.現代人が書道を勉強する意義についても説明がありました

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①伝統文化の勉強に対し有利
②生活が充実、ストレスの調整
③気の調整により血液の循環に良くなる
④文化人と接触する機会が増える
⑤市場価値がある作品を生み出すチャンスがある

五.呉門書道館

「呉門書道館」という書道文化の普及および交流に利用できる場所が設立された情報も紹介された(場所:蘇州市下塘街256号)

六.最後に

趙先生の練習作品を写真で鑑賞後、数点質疑応答を終えて、その場で先生が筆を握り、書を実演しました。上手い書きぶりに喝采があがりました。
その他は割愛しますが、現場で披露した先生の1枚達筆は下記のとおりです。

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交流会

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2卓で、初参加者との交流を交え、にぎやかでリラックスな交流会でした。

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