異文化対応力を鍛える蘇州-上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

日時 9月12日(土) 15:00~17:30(勉強会) 18:00~19:30(交流会)
テーマ 異文化対応力を鍛える
講師 北岡正治氏(東京大学卒、元南京富士通総経理、現放送大学講師、コンサルタント)
幹事
場所 桃園度假村酒店4階セミナー室
出席 勉強会:52名 交流会:41名
会費 勉強会:20元、交流会:120元

概要

<セミナーは全50余ページのPresen'資料を使い聴講者の理解程度を看ながら進行・・>

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今回のセミナーは講師自身が学生時代から社会人時代に体験した事実と類似する学問を融合させた、之までに例を見ない異文化分析と、それにどう対処すれば交流が図れ相互にハッピーな方向に向かえるかを様々な事例や体験を元に講義された。

本来、12時間を要するセミナーを当会合の為に2.5時間に圧縮し講演頂いたので、講義内容が希薄化した面は講師にお許し願いたい。

この「まとめ」は講師のセミナー内容を反復するものでは無く、聴講者の一人として実行委員が捉えた事象をセミナー記録として残すものです。

(本記録者が講師の崇高な異文化論に同化出来得るものではない)

内容

①セミナーの内訳

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・組織の5つの基本課題(組織心理学)
・肯定的な異文化接触の3つの条件(社会心理学)
・人々の行動を理解する四つの切り口(社会心理学、他)
・国民性の6つの次元軸(社会心理学)
・世界の人々に共通する5つの道徳基盤(道徳心理学)
・人々が理解し合う為にキーとなる高次の省察能力(進化心理学)
・異文化対応に必要な4つの能力と学習方法(社会心理学)
・多様性を原動力とする変革のリーダーシップ(ハーバードBS)

②・異文化対応力の学習サイクルは動機CQ⇒認知CQ⇒メタ認知CQ⇒行動CQのサイクルを回す事で学習程度がUp。

・人生とは旅である、心とは? ⇒心とは象に乗る象使いである。・・ジョナサン・ハイト(心理学者)「 象自体は合理的な動物では無く、感情的な動物の上に小さな理性的な人間が乗っているだけの動物」

③文化の違いを力に変える7つのポイント

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A)組織の5つの基本課題
B)肯定的な異文化接触の3つの条件
C)人々の行動を理解する4つの切り口
D)国民性(文化的価値観)の6つの次元軸、日本と中国の国民性の相互と対応。
E)人々を組織化する生得的能力:道徳感情と省察力(理性)
F)異文化対応力を校正する4つの能力と学習サイクル
G)ブライトスポットを見つけ出して「変革」する適応のリーダーシップ

④人間の行動は

(1)行動は思考や感情から生ずると言う理論は、考えそのものの中にある。
(2)人間の行動には人間性、文化、パーソナリティー、環境が関係している。
人間性は遺伝、文化程度は学習、パーソナリティーは遺伝と学習にそれそへれ依存する。

⑤国民性、文化的価値観の統計分析は過去に幾多の事例がある。

1970年代頃までは人類学、社会学の成果と心理統計法。IBM価値調査、70数カ国IBM社員アンケート⇒この結果をホフステードが解析、他の研究を統合して6つの次元軸を定義。

(1)権力の格差
(2)個人主義vs集団主義
(3)長期志向vs短期志向
(4)男性らしさvs女性らしさ
(5)不確実性回避
(6)放縦 vs 抑制

日本人は不確実性回避(ハッキリしたい正確)、長期志向、男らしさが高位、権力格差、個人的、抑制的が低位 中国人は長期志向、権力格差、男らしさが高位、不確実性回避、放縦 vs 抑制、集団 vs 個人が低位にあり不確実性が顕著に異なる。

⑥企業の海外進出のリスクを数値化する研究がある

文化的距離(コグート=シン指数)と進出時の合弁先の選択割合が相関。コグート=シン指数を用いた地図は中心国から各国の距離を示めす。離れるほど国民性が異なる割合が高い。日本の文化的価値観に近似する国は無い。

日本と中国の国民性の違いは明白であり解決糸口は「個人の発展空間と事業目的が一致すると強い力を発揮する」

⑦「不確実性回避」が強い日本の国民性とは

・人に迷惑を掛けない
・清潔とマナーにうるさい
・勤勉は金なり
・一生懸命働く
・何事もキッチリ
・丁寧に仕事
・問題再発を社会は許さない
・なぜなぜ5回
・ホウレンソウ

対する中国々民は

・森が広いとどんな鳥でも居る
・いろんな意味で「広い」
・言語、方言が多数
・不確実性は避けられない⇒回避工夫
・寛大さが要る。

⑧アジアでの日本文化の特徴は(プロフェッショナル志向)と(家族からの独立、平等指向)で中国文化とは真逆

ハイアールは権利力格差次元で品質管理。他の小企業では家族主義次元を導入し社員の帰属意識を醸成し成功。

⑨「文化の違いを力に変える7つのポイント」

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(1)組織の5つの基本課題
(2)肯定的な異文化接触の3つの条件
(3)人々の行動を理解する4つの切り口
(4)国民性(文化的価値観)の6つの次元軸
(5)日本と中国の国民性の相違と対応
(6)人々を組織化する生得的能力:道徳感情と省察力(理性)
(7)異文化対応力を構成する4つの能力と学習サイクル
(8)ブライトスポットを見出して「変革」する適応のリーダーシップ

⑩文化を越えて共有する道徳感情5種

(1)傷つけないこと
(2)公平・互恵
(3)内集団への忠誠
(4)権威への敬意
(5)神聖さ・純粋さ。
・・・生存は良好な関係と協力的な社会に係っている。
・・フランス・ドゥ・ヴァール(オランダ人心理学者、動物行動学者、動物学者) 「人々が理解し合うためのキーが省察能力」:文化は人が省察できることで産み出された
・自分の心を省みる
・他者の感情や信念にも考えを巡らせる。
・・「再帰的に繰り返す能力=意図性」⇒規則、評判、人格、情報の共有。

⑪「人間性、国民性、そして異文化理解」

国民性に関する知識をベースにしながら、人間性で相手に共感(認知的&感情的)出来ると異文化を理解したことになる。「異文化対応力を構成する4つの能力」

(1)動機CQ
(2)認知CQ
(3)メタ認知CQ
(4)行動CQ

動機CQは異文化に興味を持ち自信を持って適応する意欲(ヤル気)である。⇒遣れば出来る⇒「これなら出来る」認知CQは異文化に伴う問題と文化の違いを理解する能力。⇒関連する知識を学び、適応の過程で習得し蓄積する。メタ認知CQは異文化接触の経験を違和感では無く、好奇心に変えて正確に捉え問題の原因を突き止めて対策を計画する。象使いが主導する、適応のカギとなる能力。

省察⇒気付く⇒計画⇒評価のサークルを回す。行動CQは異文化人相互の交流において言語的、或いは非言語的な行動を適切に変える能力。・・人の心の正確な現われか否か

⑫リーダーシップの定義:困難や問題に立ち向かい、前に進むために、人々を動かす手腕。

ロナルド・ハイフェッツ

⑬「事例GEのグローカリゼーション戦略」

・先進国で製品開発・各地域仕様にマイナー修正・グローバルに販売
・・1990年代の中国では不成功。⇒GEのローカル・グロース・チーム(LGT)へ進化。
「GEのイメルト会長が発揮したリーダーシップ」:成長が見込める地域に権限委譲、ゼロから新製品を開発、ゼロからlgtを立ち上げ、独自の目的、目標、評価基準を設定、経営陣はlgt直属。
・・・・「適応のリーダーシップ」:解決策は内部に有る、人々を誘導、ブライトスポット特定、そのブライトスポットを全体に広める様に人々を動かす。

⑭「ハイアール社の自主経営体」

⑮「問題は大きく、解決策は小さく」

人々の多くの変革の努力の中に、ブライト・スポットを見つける。

関係葛藤、不要な摩擦を起こさないために」:ドラッがー曰く・・リーダーに何を遣るかと教えるより何を止めるべきかを教える必要がある。

所感

本日の参加者で日本人は現在中国と言う異文化の中で日々仕事し生活している。「中国人は一体何を考えているか分からない・・・」を聞く場合も多くあるが、今回の講義に原因が明確に示されている事に気付いたはずである。その異文化を理解し馴染んで行く手法も指導された。だったら明日から中国人とか日本人とか仕分ける必要の無い業務スタイルが取れるか、それを実践していって貰いたい。

他方、日本は国土も狭く人口もどんどん減少して行く中で、どうしても海外での事業にコア・コンピタンスを求めなければ成らない実情にあるが、今日の学んだ内容が果たして各企業の海外戦略に反映されているかと言えば、そうでは無いと気付く。本社に対して今からでも遅くは無いので、この様な状況を日々情報発信する事が重要と思われる。又異文化圏に派遣する社員対して語学と共に、異文化も学習させて海外に派遣す事が海外事業の成功、発展に欠かせない。各企業は大いに取り入れて貰いたい。

講師には普段は1.5時間の8回=12時間コースを2.5時間に短縮して頂き、講義されたい内容と濃さが十分で無かった事とお詫びします。
機会が御座いましたら、時を替えて「第2弾」をお願い致したいと思っています。
放送大学での講師や参画されて居られます事業の益々のご発展を会員一同祈念しています。この度は誠に有難うございました。

交流会

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