私と中国事業蘇州-上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

日時 9月23日(土)
テーマ 私と中国事業
講師 井上 俊二 様(睦月電機(蘇州)有限公司 総経理)
幹事 近藤 ゆかり
場所 勉強会:プライムコンサルティング研修室
出席 勉強会:16名 交流会:15名
会費 勉強会及び交流会 240元/人

勉強会の内容

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※個人情報、企業情報は含めず、要点のまとめといたします

  • 人生100年時代、18歳〜68歳は「青年期」である。
  • 子供の頃からスポーツマン、小学3年、高校1年と二度の交通事故にも負けず、将来の飛躍のバネとした。
  • 外語大学で中国語を専攻
  • 1978年中国が改革開放となった時に中国を旅行
  • 大学の卒論は「老舎の生涯」、膨大な量の文献を読み、書き上げた超大作。
  • 松下電器産業株式会社に入社後、海外テレビ事業部に配属された後、中国との関わりが始まる。
  • 業務上の失敗は、個人で賠償する覚悟、多くの人に好かれる仕事を心がける。
  • 部下、組織を持つ責任感(部下の人生設計に関わる立場、常に関心を持つ)
    文系と理系の「殻を破る」力(バランス感覚)が必要
  • 北京駐在(初駐在)では、中国幹部の温かい心のこもった配慮と高い教養、一流の文化レベルを感じた。
  • 駐在で感じたことは「どこでも住めば都、地域性の違いを理解する」ことが重要である。
  • 人の心は伸縮自在、考え方によってどうにでもなる。
  • 松下幸之助「謙虚」「素直」に学ぶ。
  • 言葉の巨人、行動の小人。
  • 失敗は許す、しかし、失敗したことでの学びを必ず生かすことが大切。
  • 駄目な企業「自己満足」「保守主義」「思い上がり」、成長を続けた企業「顧客への関心」「競争」「変化」。
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  • 会社の業績が悪くなる六つの兆候
    -自社、自分の立場に固着
    -個々の責任回避
    -保守的、挑戦しない
    -内部議論中心
    -傲慢、うぬぼれ
    -リーダーが決めない
  • 当たり前のことが自然にできる会社が一番すごい
  • 会社が求める人材像。どんな会社にも4種類の人材が存在する。
    「人材」「人財」「人罪」「人才」
    自分は今、どんな人材であり、会社が求める人材になるためにはどうあるべきか。
  • 現在の勤務先(蘇州)では、着任時に全社員との面談(個別・グループ)を実施し直接会話をすることで状況を把握。
  • 役職者(課長以上)へはある程度の会社業績を開示、次の行動へ繋げることを重視。
  • 徹底したコスト管理(無駄・無理・ムラ)の排除(不移動在庫処分・財産保険の見直し等)
  • 着任後の3つの発信「傾聴」「衆知を集める」「言は、必ず行い、行いは必ず果あり」
  • 日本人の任期は有限、会社は無限(50年)に存続、発展が必要。
  • 常に新しいことに挑戦するリーダーでありたい
  • 辞め時と後任を自ら決定したい

2.質疑応答

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なぜ、英語を学ぶ人が多い外語大学で中国語を専攻することに決めたのか?

→世界的に見ると中国語を話す人口が圧倒的に多いので、中国語を習得した方が将来的に有望であると考えたため。

2つの心得「足るを知る」「欲」は、どちらが優先されているのか?

→どちらも必要、バランスをとり考えることが必要と思う。

この40年間で、中国が発展し日本が遅れをとってしまったのには何が原因と考えるか?

→「日本が進んでいる」と考える傲慢さ、そしてそれに気がついていないということ。日本企業の自惚れが原因と考える。

約40年間の中国人社員の大きな変化はどの様なところか?

→計画経済から社会主義経済へと変化したなかで、”お金持ちが良い”という拝金主義へ変化していったと感じている。
ただし、その様な中でも福利厚生の充実など、お金以外のところに重きを置く傾向もある。

「現場力」の向上、学んだ後に経験を活かすことができる様にするために取り組んだことは何か?

→日本から言われたことだけでなく、新しいことに取り組み、それができれば昇給や昇格などの結果とした。

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大きな事故にあった後も積極的にスポーツをしたのはなぜか、普通なら怖くてできないのでは?

→以前からスポーツは好きだった。死ななかったのはスポーツをしていたからだと考えている。
12時間意識不明の後、目が覚めた時に、自分が生きていることを確かめたく自分で歩いてみた。

現代中国は拝金主義で年々それが酷くなっているように感じるが、中国古典文学を取り入れて会社経営をすることは、その様な現代の考え方を変えることができると考えているか?

→中国古典文学では商売人を下に見ているが、決してそうではなく商売人がいることで経済の発展があることも理解してもらいたい。またお金だけが全てでなく、人間関係なども大切であることを古典文学を通じて感じてもらえると、心にも変化があるのかもしれないと考えている。

アメリカ、メキシコなど他地区の工場とは、どの様に連携しているのか、また、業績などはどの様に比較されるのか?

→グローバルには連携をしておらず、比較などはない。各社責任者の交流もない。

日系企業は日本本社からの指示で動くことになると思うが、どの様な役割で業務推進をしているのか?

→日本本社からの指示は少ない。あくまでも「協力する」という考え方。責任は取ってくれないので、自分たちで責任を持って推進することを重視している。

まとめ

講師の68年間の生き様、長きにわたる中国との関わり、経験と気付きをご紹介いただきました。
いかなる状況でも希望を持ち前に進んでいくこと、仕事もプライベートも様々な人との関わりの中で充実されておられることなど、重みのある言葉で語っていただき、参加された皆さんも自身の経験に照らし合わせ、気付きや学びが大いにあった勉強会となりました。

交流会

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数年ぶりに中国に帰ってこられたタイミングで参加された方、日本へ帰任された方からご紹介いただき参加された方もいらっしゃり、過去のS-SBFに関する懐かしいお話しや、昨今の経済事情など、多岐に渡る話題で盛り上がり、楽しく有意義な交流会となりました。

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