新しい労働社会-雇用危機時代の判例を読む蘇州-上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

日時 1月14日(土)15:00~18:00
テーマ 新しい労働社会-雇用危機時代の判例を読む
講師 丁明勝 弁護士(錦天城法律事務所所属)
幹事 丁明勝 弁護士(錦天城法律事務所)
場所 勉強会・交流会とも桃園渡暇村酒店(蘇州新区)
出席 勉強会:22名 交流会:16名
会費 150元(交流会費用込み)

内容

一、雇用危機時代とは

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2010年労働関連10大ニュースを例に説明
1.1 全国に波紋する集団闘争・広東省南海本田子会社と蘇州聯建のストライキ
1.2 労働力不足がより深刻に その一方、新卒者が就職難
1.3 2011年相次ぐ各地域の最低賃金引き上げ 平均20%まで
1.4 労使紛争の激化 労働仲裁や訴訟事件急増増
1.5 雇用危機を加速させた三要素 第一次産業の発展、インフレ、産業移転

二、労働紛争判例解読

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判例研究の重要性

2.1 労働契約締結時の紛争
2.1.1 判例:労働者による労働契約締結拒否 書面労働契約の締結は不可欠
2.1.2 判例:B型肝炎キャリアによる就業差別訴訟 採用内定決定前に先に健康検査
2.1.3 判例:在中駐在員事務所の直接人員雇用 直接雇用してはいけない

2.2 労働契約履行時の紛争
2.2.1 判例:長時間残業による労働者の辞職 36時間残業制限を超える場合のリスク
2.2.2 判例:約定による社会保険納付義務の放棄 社会保険参加は強制的な義務である
2.2.3 判例:競業制限義務と違約金の約定 経済補償を支払う必要がある

2.3 労働契約終了時の紛争
2.3.1 判例:試用期間に辞職した場合の研修費 返還を試用社員に主張してはいけない
2.3.2 判例:条件を引き上げた労働契約の更新 固定期間契約の期間満了時、契約の更新
2.3.3 判例:退職した従業員の年末ボーナス支払請求 社内賃金規則の整備

三、トラブルを事前回避するために -重要な証拠を保存・保管する-

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3.1 労働契約と就業規則を完備すると共に従業員のサインも必要
3.2 従業員の評価査定制度及び採用基準の具体化
3.3 違反行為について証拠を残す(例:始末書、労働組合による立会いの実施など)
3.4 労働契約を解除・終了する際、書面にて行う

四、質疑応答

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質問1:産休後、会社に復帰した女性従業員がすぐに辞職することができますか。
コメント:産休と関係ないです。普通の従業員と同じように、30日事前書面通知で辞職することができます。

質問2:昼休み中、社内で散歩しているところ、他社の運輸搬送の車にけがされた自社の社員に、会社は責任を負いますか。
コメント:労災にならなくて会社が責任を負わない一方、民事事件として、けがされた社員は車の所属会社を相手取って損害賠償を請求することができます。

質問3:課長職以上の従業員の賃金構成は契約書に明記する必要がありませんか。
コメント:30時間の平日及び土日の残業代を含む職務手当は労働契約書や賃金規則、就業規則等に明記する必要があります。

交流会

2012年度の初めての交流会として2011年の回顧及び2012年の希望や企画について活発な意見交流をしました。

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