日本のものづくりと蘇州(15年間の蘇州日系企業調査から)蘇州-上海ビジネスフォーラム活動報告

開催概要

日時 7月27日(土)
テーマ 日本のものづくりと蘇州(15年間の蘇州日系企業調査から)
講師 日本慶応義塾大学 博士 経済学教授 植田 浩史 氏
幹事 樋爪 徹男(蘇州宝富塑料制品有限公司)
場所 蘇州市桃園度假村大酒店 4階会議室
出席 勉強会:40名 交流会:34名(講師含む)
会費 勉強会及び交流会共130元

勉強会の内容

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昨年3月の講演(~10年間の蘇州日系企業調査~)から今回は更に踏み込んだ蘇州日系企業の約15年間の現状・蘇州との関わりの他、日系企業が今後必要と思われる蘇州でのものづくりについて日本慶応義塾大学 経済学博士 植田 浩史教授様から講義を受けました。

①蘇州の日本企業への視角

リーマンショック以降の蘇州への日系企業進出は世界全体への進出比率からみると減少し、解散・撤退は増加している。・・・売却・身売りの実態は調査が難しい。

労働力低下から利益・設備投資・開発品の比重は上昇。情報通信産業・電子産業から自動車(輸送機械)産業へのウエイトが多くなっている。又販売先や調達先としての現地の比重が上昇。

高口康太氏著書の『中国は発展途上と最先端の「S級とB級」が混在』の紹介ではA級を自認する日本の上から目線に批判、中国の「B級」だからリープフロッグ(カエル跳び)がある。

深圳は下請け工場からイノベーション都市に変化しモジュール型製品と先進技術との提携で「S級」のユニコーン企業を輩出、蘇州では「誠品生活」や「猫的天空之城」など文化産業で特徴。

ものづくりではこだわりと基盤技術で「A級」を目指す。

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②蘇州の大手・中小企業のケース(限られた訪問先だが)

大手企業

電気機械メーカーでは、リーマンショック後 従業員数は微増で売上増加。
自動車部品メーカーは、取引先は日系企業が多いものの欧米・特に中国系も増えている。

中堅・中小企業

パートナー型進出企業は取引先からの受注が減少。対策は他社との取引拡大や徹底した生産効率化でコスト減。他地への進出でマザー工場化。
本社の生産工場型進出企業は本社にとっての中国生産メリット減少。新たな販路開拓。
蘇州での創業企業は日本品質と中国価格のバランスで売上増。

まとめ

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中国での日系企業は環境・安全規制・都市再開発・人件費高・為替・ローカルとの競合大でもの造りは変化しており、撤退・解散は増加しているが中国に踏みとどまる企業は多く「雪崩をうって」にはならない。
世界深圳の「S級・B級」と蘇州の「A級」化には日系としてのビジネスチャンスはあり、特に中堅・中小企業には日系である強みとローカル性のバランスを生かせる領域は有る。
中国では今後ものづくりの「A級」化がますます求められるだろう。
蘇州でのこだわりのものづくりをすべきではないか。

交流会

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中国の若手層の参加者も増え、3卓でおいしい料理を囲み、積極的な交流が行われました。
交流内容は勉強会の事・仕事の相談・趣味の話など多様で皆さん貴重な時間を過ごされたと思います。

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