中国の企業・投資家が直面する日本進出の壁/T-SBF年末会東京ー上海ビジネスフォーラム活動報告
開催概要
テーマ | 中国の企業・投資家が直面する日本進出の壁/T-SBF年末会 |
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日時 | 2024年11月27日(水)講演会:18:00~/食事会:18:30~20:30 |
講師 | 上海誠鋭企業発展有限公司 叶 家胤 様 |
開催場所 | 過門香 點 有楽町イトシア店(東京都千代田区有楽町2-7-1) |
出席 | 8名 |
食事会形式での会合開催
素材の安全・安心を追求し国境を越えた「大陸料理」を提供すると共に、窓からは有楽町駅の夜景を眺めることができる「過門香 點 有楽町イトシア店」にて、T-SBF会合を開催いたしました。
講演会
昨今、中国の個人投資家や企業による日本へ進出するケースが増加していますが、様々な「壁」に直面してしまう模様。「日本は近い様で遠い」と感じてしまう中国人投資者の悩みをご講演いただきました。
背景
ブランド構築
日本でも販売されている実績を作ることで中国でも認められる事ができるため、ブランド構築の一環として認知されています。最近では中国ドラマの日本進出により、ドラマに出演している女性俳優のメイクが話題となり、決して安くはない中国ブランドの化粧品が流行しています。
日本市場進出:日本人市場と中国人市場
日本への進出には、日本人を対象とした「日本人市場」と中国人を対象とした「中国人市場」と2つの大きな市場があります。「日本人市場」は日本人を対象とするそのままの理解ですが、「中国人市場」では中国人に向けた商材店舗や美容など、言葉の壁が存在せずにビジネスが完結する市場が成り立っています。
日本の福利厚生(個人投資者)
来日される中国の方は「富裕層」のイメージが強いですが、最近は「富裕層」ほど資産は無いが少し資産を所有している「裕福層」が多くなっています。この「裕福層」が日本の充実した福利厚生や最先端医療などに魅力を感じ、老後生活の一つとして、日本進出を希望する個人投資家が増えています。
壁
会社設立:銀行口座開設
中国は原則外資歓迎であり、中国内資企業は40%、外資企業は25%の所得税優遇制度など、国内からは不満が出るほどの待遇がありました。
日本ではマネーロンダリング等の背景があるために、代表取締役が外国人の場合は銀行口座の開設ができない等、会社設立登記の準備が完結できない現実があります。実際にジェトロでも「日本口座の開設は困難である」と認められていました。(最近は柔らかい表現に訂正された様です)なお、規模の大きい企業の場合は例外もある模様ですが、中小企業の規模の場合は、依然として困難である状況は変わらない様です。
経営・就労のための「経営・管理ビザ」の取得
中国では外国人に対してビザを発行する際、評価制度で審査が行われています。この対応に中国でビジネスを行う日本人からは、多くの不満の声を良くお聞きしました。
しかし日本でも外国人に対して点数制度を用いたビザの発行を行っています。決して中国だけの制度ではなく、日本でも同様の審査基準を設けています。
閉鎖的と感じられる成熟された日本市場への挑戦
日本を「成熟された市場」として見ている中国人は多く、新規参入が難しい国の一つとして認識されています。
日本は整然と横並びに成長や発展を行うため、外資が入る隙間も無いと感じていることが理由です。例えばオフィス物件を例にした場合、都内一等地での手配はできず、横浜みなとみらい辺りまで範囲を広げると手配が可能といった事例もあります。この理由は貸し手側にあり、都内は内資企業、都外は外資企業が多いためです。
この様に日本人が日本国内で活動するには何ら問題にもならない内容ですが、外国人が外から見る日本は様々な問題が立ちはだかっているのが現状です。
まとめ
今回の講演では、日本側・中国側それぞれからの視線で理解が大きく異なることを感じました。一方的な視線の見方しか行われないことが多々ある中、中立の立場で認識・理解が必要であることを改めて痛感した内容でした。
叶 家胤 様には貴重な情報をご講演くださいましたこと、改めまして御礼申し上げます。
食事会
講演会後は、そのまま同一会場にて年末会を兼ねました食事会を開催。今回の食事会では、四川料理をベースにアレンジしたコース料理+飲み放題を選択。各種中華料理は大皿で提供され、美味しくいただくことができました。
また今回は中国に滞在・出張経験がある皆様にご参加いただきましたため、中国国内の懐かしいお話し合いで盛り上がる事ができました。
お忙しい中、ご参加くださいましたこと、誠にありがとうございました。