各SBF活動は、新型コロナウイルスの状況を鑑みつつ、次回開催の日程を決定させていただきます。

趣味としてのオーディオ

趣味としてのオーディオ

第4回 2006年11月

これまで三回にわたりオーディオに関することを書いてきました。今回は趣味としてのオーディオと題してお話させていただきます。

趣味を辞書で引くと「専門としてではなく楽しみにすること。ホビー」と書いてあります。それではホビーを引くと「職業以外の積極的 創造的活動はホビー散歩など単なる気晴らしとしての行動はパスタイム」と書いてあります。よく見ると「専門ではなく」という部分が「職業以外の」に当てはまります。そして「気晴らし」と「趣味」を区別しているところが興味深いですね。

そうなのです。趣味としてのオーディオとはすなわち「 積極的 創造的 」な活動なのです。

オーディオ機器はあくまでも音楽を聴くための道具ですから道具を買うことは趣味にはなりません。

道具は使いこなして初めて本来の価値を発揮し始めるのです。買った後が一番重要で楽しいことのはずです。

使いこなし等は前々回に少しお話させていただきましたが、要はオーディオ装置の音を聴くのではなくそこから出る音楽を聴くこと。そしてこれを実現するために使いこなすことが大事なのです。大事なのは音楽そのものに没頭できるかどうか?

マランツのカタログや広告には英語で必ずBecause Music mattersと書いてあります。これは世界統一のCIであり全世界の人にマランツが発信したい最も強いメッセージのことです。意味はお分かりと思いますが 「全ては音楽のために」という意味です。

ともすれば 我々オーディオ屋は出力が「200Wとか ××技術だから性能がよい 」などゴタクを並べて「どうだすこいでしょ」を強調したくなるのですが実はそんなあまいものではないというのをこの仕事に携わるようになって思い知っているところです。料理といっしょで、どんなに新鮮な材料ですごい技術で作ったとしても 一口でおいしいのか おいしくないのかは考えなくても分かってしまうのに似ています。

だから恐ろしいのです。

私は仕事柄1000万円以上のシステムでもあまりに音が悪くて一分たりとも聞いていられないという体験をしたことが数知れず有ります。むしろいい音は聴いた体験はほとんどない。と言ったほうが正解でしょう。

今では高い機械は調整が難しいとか部屋の大きさとか環境に影響されやすいとかいろいろやっかいなのは知っています。しかし入社したてのころでしたので驚きでした。雑誌でしか見たことの無い憧れの機器の音がラジカセ以下だったりするのです。ただ音が大きくてひずみだらけでとても音楽に没頭できる類の音ではありませんでした。音楽を聴くための機械なにの音楽を聴きたくなくなる音を出す。とはいったいどういうことだろうと思いました。

これは大変残念なことです。

以前よくオーディオは泥沼だ。などと言われることがありました。よい音がするまで満足するまで買い換えるからです。しかも人によっては短期間で際限なくお金をかけてしまい泥沼地獄にはまってしまう。という意味です。メーカーにとってはいいことですが果たしてこの買い替えが 積極的で創造的な品の良い趣味と言えるでしょうか?

また同じような意味だと思いますがオーディオ評論家がオーディオは「業」のようなもの。と雑誌に書いてあるのを見たことがあります。

確かに機械をグレードアップ(自分でそう思うだけ)してちょっとでも音が変わる(実は何をしても変わるのを今では知っています。極端な例として部屋の電話機を外に出すだけで変わる)と非常にうれしいし買い換えた甲斐があったと思いたくなります。しかししばらくするとその音に慣れてしまいまたグレードアップしたくなる。麻薬のような習慣性のあるということを体験された方も多いと思います。

機械を変えると音が変わるだけで決して良くなっているとは限らないのです。環境によっては安いシステムのほうがいい場合もあります。

じゃどうすればよいのでしょうか?

大事なのは購入の際に視聴環境の整った販売店で納得するまでいろいろな音楽のCDを視聴することです。このとき聴きなれたいろいろな楽器やジャンルのCDを10枚以上持っていってください。

そして店で機械を選ぶ時の判断の 「こつ」あるのでしょうか? 実はあります。

例えると運動した後のスポーツドリンクのように体に「すっ」と入ってくるもの。

そして食事ならば 海外旅行の後の日本食, 飲んだ後ラーメン 二日酔いの翌日のあっさりとしたおかゆ おいしいワインとうまいパンとチーズの組み合わせ というように体が生理的に欲するもの。といったらよいでしょうか?

視聴しながらこれがいい音なんだ。いや雑誌に書いてあったから良いはずだ。などと無理やり自分を納得させる必要はありませんよ。あせる必要もありません。先入観を捨てて自分の好きな音楽を体で楽しめる機械を選ぶことが重要です。

丁寧な対応をしてくれる販売店なら快く対応してくれます。できれば電話予約をして希望を伝えればセッティングを済ませてお客様を待っていてくれます。そして買った後はじっくりと機械をセッティングし音楽を聴くことです。生活の中で音楽に対していままで以上に積極的に向き合えるようになります。

音楽を聴きましょう。

次回はいろいろなブランドの設計思想についてお話します。

オーディオコーナーカテゴリの最新記事