第8回 2007年9月
今回は「オーディオの落とし穴」について考察してみましょう。
結論からいうと『新しいものがよいとは限らない』ということです。
パソコンなどに代表されるデジタル家電と呼ばれる種類の製品は間違いなく新しければ性能がよくなります。待てば待つほど得するわけです。 テレビやビデオなどの中古市場をみれば一目瞭然ですね。
すぐに二束三文になってしまいます。
しかしオーディオ製品は違います。
弊社の国内営業が代理をしているイギリスB&W社の「ノーチラス」という名前のスピーカーがあります。
これは1995年からスタートし現在でも販売は継続しています。工業製品としても異例の長さです。
価格はペアで500万円だったのですが年々生産コストの上昇で内部的には二度ほど値上げをされていたのです。
弊社ももうけを削って500万円を維持してきましたがこのたび更なる値上げがあり輸入代理である我々としても値上げしなくてはならなくなり新価格は二倍の1,000万円になりました。
本国のイギリスでも大幅な値上げをしています。
このスピーカーの特徴は理想的な音響理論をまったく妥協せずに実現しようとしたものです。
よって外観は特徴的な形をしているのですがこれはデザインのためではなく音響理論を正しく実現しようとしたらこのようなデザインになったというわけです。
どんなデザインかはB&Wのホームページを見てください。
現在日本では数人の方が一年越しで納品を待っています。
こんな商品であればどんどん価値が上がっていくのですから安心して使うことが出来ます。
言い換えれば ”買い替え”の心配なく音楽を聴くことが出来るわけです。
こんな製品を発見する見極めポイントは
- 後継モデルがない
- 価格に占めるコストが高い
- デジタル製品でもアナログ的なよさをもっている製品
- 一球入魂的な商品
- 使っている人が少ない。
- よって中古も少ない 中古市場価格も上がる場合がある
- 競合他社が作れない
- 為替変動以外の値上げがある
こう書くと簡単なようですが実際探すのは至難の業ですね。
買い換える場合は注意してください。
売ってしまったあとに後悔しないように。
お金とおき場所に余裕がある場合は買い増しのほうが安全といえます。
焦らずにゆっくりと考えてから売り払いましょう。
話は変わりますが マランツの商品で小型高性能のPM8001というアンプとSA8001というCDプレーヤー があります。
実は弊社の企画のマネージャーから聞いた話しなのですが日本で最も有名な指揮者の方が 昨年の秋以降リビングで使っているのがこの組み合わせだそうです。
ちなみにスピーカーはB&WのCM1という小型高性能のものです。
なぜあの指揮者がこれを選んだかが非常に興味深いわけですが共通しているのはアンプ/CDプレーヤー/スピーカー全てのコンポーネントが小型で高音質の製品を選んでいることです。
小型であることを要求したのは奥様だそうです。
もちろんリビングに置くわけですから美観を損ねてはいけません。
細かい「いきさつ」は,また別の機会にお話させていただきますが弊社のPM8001/SA8001も本望でしょう。
ところで今年の上海の秋季クラッシックコンサートはすばらしいプログラムが多いです。
9/17に小澤氏の指揮でモーッアルトの「フィガロの結婚」を聴きに行きました。
特に第二幕の冒頭のアリアはすばらしかった。
実は一幕は全体的にいまいちの雰囲気だったのですがここから一気に生気を取り戻して 音楽会の最後まであっというまに時間が過ぎていきました。
あの歌唱はオーディオ再生では逆立ちしても出ない世界でした。
アルマブィブァ伯爵の役はCellia Costeaという歌手が担当していましたが彼女の実力は相当な ものと感じました。
CDを聴いてもここまで個人の実力というのは分からないものですが生でははっきりと分かります。ましてオペラのように複数の歌手が登場する場合はなおさらです。
プログラムを見てみると10月11月と毎週のようにすばらしい音楽会が予定されているようです。
これも上海ならではの魅力といえますね。
是非足を運んでみてください。